
自己破産を検討する時、財産をすべて失うのではないか、家族との関係が壊れるのではないか、仕事や住まいを失うのではないかと不安になります。しかし、実際に手続きを終えた人に何が起きたのかを、まとまった形で確認できる資料はほとんどありません。
債務整理相談ナビでは、2026年5月から7月にかけて、自己破産の経験者を対象とした実態調査を13本実施しました。財産、家族、手続きそのもの、相談先の対応まで、テーマごとに条件を絞って質問しています。
13本を並べて読むと、テーマが違っても同じことが起きていました。手続き前に想像されていたことは、実際に起きたことより大きく見積もられています。ただし、すべてが小さく済むわけではなく、想像より大きかった部分もありました。
本レポートでは、13本の調査結果を横断して整理し、何が起きて何が起きなかったのかを数字で示します。
本レポートで扱う13本の調査
各調査は対象条件が異なります。年金の調査は50歳以上に限定し、慰謝料・養育費の調査は手続き時に離婚していた人、子どもの調査は手続き当時18歳未満の子どもがいた人を対象としています。
| 調査テーマ | 人数 | 調査対象の条件 | 調査期間 |
|---|---|---|---|
| 失ったもの(財産・生活) | 100人 | 免責許可を得た経験者 | 2026年5月20日〜22日 |
| 後悔・満足度 | 102人 | 自己破産の経験者 | 2026年5月20日〜22日 |
| 破産管財人との面談 | 100人 | 管財事件(少額管財含む)の経験者 | 2026年5月20日〜22日 |
| 車の扱い | 101人 | 手続き当時、自己名義の車を所有 | 2026年5月20日〜22日 |
| 生命保険の扱い | 100人 | 解約返戻金のある生命保険に加入 | 2026年5月21日〜25日 |
| 銀行口座への影響 | 100人 | 自己破産の経験者 | 2026年6月11日〜13日 |
| 夫婦関係・離婚 | 100人 | 手続き当時、配偶者がいた | 2026年6月11日〜13日 |
| 年金・老後 | 100人 | 50歳以上の経験者 | 2026年6月11日〜13日 |
| 慰謝料・養育費 | 100人 | 手続き時に離婚していた | 2026年6月11日〜15日 |
| 借入先と借金総額 | 100人 | 自己破産の経験者 | 2026年6月11日〜15日 |
| 子どもへの影響 | 100人 | 手続き当時、18歳未満の子どもがいた | 2026年7月22日〜24日 |
| 携帯電話の契約 | 100人 | 手続き後に契約・分割購入を申し込んだ | 2026年7月22日〜24日 |
| 無料相談の利用 | 100人 | 自己破産について無料相談を利用した | 2026年7月22日〜23日 |
いずれもインターネット調査で、調査元は株式会社cielo azul 債務整理相談ナビ、モニター提供元はサクリサです。

第1章 手続き前の不安と、実際に起きたこと
13本の調査で何度も出てきたのが、事前の不安と実際の結果の差でした。
| 項目 | 手続き前の不安・一般的なイメージ | 実際に起きたこと |
|---|---|---|
| 子どもの進学・進路 | 悪影響を心配した人 54.0% | 受験先の変更・奨学金の活用に至った人 21.0% |
| 子どもの転校・友人関係 | 心配した人 37.0% | 転校・転園が発生した人 16.0% |
| 夫婦関係 | 借金問題で離婚を考えた経験がある人 79.0% | 手続き後に離婚した人 14.0% |
| 破産管財人との面談 | 厳しく追及されるというイメージ | 「怖かった」5.0%/「話しやすい・淡々としていた」92.0% |
| 携帯電話 | 使えなくなるというイメージ | 回線契約ができた人 90.0%(申込者100人中) |
| 生命保険 | 必ず解約になるというイメージ | 解約 54.0%/維持できた 34.0% |
| 銀行口座 | すべて凍結されるというイメージ | 凍結された 54.0%/凍結されなかった 34.0% |
| 年金 | 差し押さえられるのではという不安 | 受給額に影響がなかった 48.0%+当時は受給前 33.0% |
| 失ったもの全般 | 財産をすべて失うというイメージ | 想定を超えなかった人 71.0% |
| 車 | ローンがあると必ず引き上げられるというイメージ | 手放した 74.3%/維持できた 25.7% |

子どもの調査では、進学・進路と転校については不安が実際を大きく上回りました。塾や習い事は不安30.0%に対して実際32.0%とほぼ一致しており、月々の固定費として見直されやすい支出は想定どおりの結果になっています。
調査の詳細は自己破産と子どもへの影響に関する調査(n=100)で公開しています。
同じ調査で「特に不安は感じなかった」は11.0%だったのに対し、「特に影響はなかった」は32.0%でした。手続き前の不安が実際より大きく膨らんでいた層が一定数いたことを示しています。
自己破産で「失ったもの」の実態調査(n=100)でも、「思っていたより失うものは少なかった」39.0%と「ほぼ想定通りだった」32.0%を合わせて71.0%が想定内以下と回答し、「思っていたより多く失った」は25.0%でした。
生活面で「意外と困らなかった」と感じたことの上位は、賃貸契約(住む場所)49.0%、携帯電話の契約37.0%、仕事・就職37.0%です。手続き前に語られがちな不安が、そのまま「困らなかったこと」の上位に並ぶ結果になりました。
第2章 財産に何が起きたか
自己破産で「失ったもの」の実態調査(n=100)によると、実際に手放した財産は高額資産に集中していました。
| 手放した財産(複数回答) | 割合 |
|---|---|
| 預貯金(99万円超の部分) | 59.0% |
| 自動車 | 35.0% |
| 不動産(持ち家) | 25.0% |
| 生命保険(解約返戻金あり) | 21.0% |
| 株・投資信託 | 7.0% |
| 特になし(自由財産の範囲内で収まった) | 20.0% |

自己破産では99万円以下の現金は自由財産として手元に残せるため、預貯金は99万円を超える部分が対象になります。
預貯金が99万円以下で、車も不動産もない場合、財産の処分が発生しないこともあり、20.0%が「特になし」と回答しました。残せる財産の範囲は自己破産で残せる財産・取られる財産の解説で整理しています。
車は74.3%が手放し、25.7%は維持できた
自己破産と車に関する調査(n=101)で、手続き当時に自己名義の車を所有していた101人に尋ねた結果です。
| 車がどうなったか | 割合 |
|---|---|
| ローン返済中だったため手放した | 51.5% |
| 自由財産の範囲内で維持できた | 25.7% |
| ローンなし所有だったが処分となった | 17.8% |
| 手続き前に売却・処分した | 5.0% |
何らかの形で手放したのは74.3%で、財産の中では最も手放す割合が高い項目でした。ローン返済中の車はローン会社が担保権を持つため、返却を求められるケースが多くなります。
一方で25.7%は維持できており、ローンがなく査定額が一定基準以下であれば残せる場合があります。詳細は自己破産と車の扱いの解説で確認できます。
生命保険は解約54.0%、破産後の再加入は71.0%
自己破産と生命保険に関する調査(n=100)では、回答者全員が解約返戻金のある生命保険に加入していましたが、解約となったのは54.0%で、34.0%は解約返戻金が少額で維持できていました。「よくわからないまま手続きが進んだ」も8.0%あります。
手続き後の再加入については、71.0%が「新たに生命保険に加入できた」と回答し、「加入しようとしたが審査に通らなかった」は20.0%でした。扱いの基準は自己破産と生命保険の解説で整理しています。
銀行口座の凍結は54.0%、3か月以内の解除が多数
| 銀行口座への影響(複数回答) | 割合 |
|---|---|
| 借入のある銀行の口座が凍結された | 54.0% |
| 特に影響はなかった、または影響がわからなかった | 31.0% |
| 給与振込口座を変更する必要があった | 29.0% |
| 公共料金などの引落口座を変更した | 24.0% |
自己破産と銀行口座に関する調査(n=100)の結果です。
凍結の対象は借入のある銀行の口座に限られるため、34.0%は「凍結されなかった」と回答しています。凍結を経験して期間を答えた61人のうち、59.0%にあたる36人は3か月以内に解除されていました。
給与振込口座については、「弁護士に依頼してすぐ変更した」35.0%、「裁判所への申立前に変更した」18.0%と、影響が出る前に対応した層が多く、「変更が遅れてトラブルになった」は2.0%にとどまりました。仕組みは債務整理と銀行の口座凍結の解説で確認できます。
携帯電話は回線契約の90.0%が可能、影響は端末の分割払いに出る
自己破産後の携帯電話の契約に関する調査(n=100)で、手続き完了後に契約や端末の分割購入を申し込んだ100人に尋ねた結果です。
| 申し込みの結果 | 割合 |
|---|---|
| 携帯回線の契約・端末の分割購入ができた | 69.0% |
| 携帯回線は契約できたが、端末の分割購入はできなかった | 21.0% |
| 携帯回線も端末の分割購入もできなかった | 9.0% |
回線契約に限れば90.0%ができています。影響が出やすいのは通信そのものではなく、割賦販売にあたる端末代金の分割払いでした。
対応方法としては、格安SIM・サブブランドでの契約42.0%、大手キャリアでの契約39.0%と大きな差はなく、端末は一括購入32.0%、中古端末の購入21.0%が選ばれています。「分割購入できるまで待った」は10.0%にとどまりました。
なお、審査基準は各社とも公表しておらず、可否は個別の状況によって異なります。回線と端末の扱いは自己破産と携帯の分割払いの解説で整理しています。
第3章 家族に何が起きたか
配偶者に共有した人が97.0%、離婚に至ったのは14.0%
自己破産と離婚に関する調査(n=100)によると、手続き当時に配偶者がいた100人のうち、「最初から話し合って一緒に進めた」が69.0%、「途中で打ち明けた」が28.0%で、合わせて97.0%が配偶者に伝えていました。「最後まで内緒にした」は3.0%です。
手続き後の夫婦関係は、「関係が改善された」38.0%、「ほぼ変化なし」31.0%で、69.0%が関係を維持していました。「離婚した」は14.0%です。
一方で、借金問題が原因で離婚を考えた経験がある人は79.0%にのぼりました。離婚が頭をよぎった人が約8割いる中で、実際に離婚に至ったのは14.0%という差が生まれています。
配偶者と早い段階で状況を共有できたかどうかが、その後の関係に影響した可能性があります。手続きの順序や配偶者への影響は自己破産と離婚の解説で整理しています。
子どもへの影響は、進学よりも家計の見直しとして現れた
自己破産と子どもへの影響に関する調査(n=100)で、手続き当時に18歳未満の子どもがいた100人が挙げた不安の上位は、将来の進学・進路への悪影響54.0%、引っ越しや転校による友人関係の変化37.0%、塾や習い事をやめさせること30.0%でした。
実際に起きた変化の上位は、家賃の安い物件への引っ越しまたは実家への転居34.0%、旅行や外食などの支出を減らした33.0%、習い事や塾を減らした・変更した32.0%です。「特に影響はなかった」も32.0%ありました。
進路に直結する「受験先を私立から公立へ変更、または奨学金を活用した」は21.0%、「引っ越しに伴う転校・転園」は16.0%でした。
自己破産は借金を免責する手続きであり、子どもの進学や就職に法的な制限を課すものではありません。実際に起きていたのは、手続きそのものによる制限ではなく、家計の水準を下げたことに伴う生活の変化でした。子どもへの影響の範囲は親の自己破産と子どもへの影響の解説で確認できます。
慰謝料・養育費は81.0%が義務を抱え、72.8%が支払いを継続
自己破産と慰謝料・養育費に関する調査(n=100)によると、手続き時に離婚していた100人のうち、慰謝料の支払い義務があった人が50.0%、養育費が23.0%、両方が8.0%で、合わせて81.0%が支払い義務を抱えた状態で手続きに入っていました。
該当する81人のうち、「免責されないことを事前にしっかり説明された」が82.7%、「説明が不十分で後から知った」が13.6%です。手続き後の支払い状況は、「支払いを継続している」72.8%、「支払いが困難で別途交渉中」21.0%、「相手方と合意して減額できた」6.2%でした。
養育費など一部の債権は破産法253条1項で非免責債権とされ、免責許可決定が確定しても支払い義務が残ります。慰謝料は内容によって扱いが分かれます。詳細は慰謝料・養育費と非免責債権の解説で整理しています。
第4章 手続きそのものの体験
管財人との面談で「怖かった」は5.0%
破産管財人との面談に関する調査(n=100)で、管財事件(少額管財を含む)を経験した100人に面談で聞かれた内容を尋ねたところ、預貯金・通帳の使途確認80.0%が最多で、高額な出費・贈与の有無44.0%、不動産・車の評価38.0%、家族・配偶者名義の財産31.0%と続きます。
面談の印象は、「思っていたより話しやすく穏やかだった」64.0%、「必要なことだけ淡々と確認された」28.0%で、合わせて92.0%が怖くなかったと回答しました。「厳しく追及される感じで怖かった」は5.0%です。管財人の権限や調査の範囲は破産管財人の役割と調査範囲の解説で整理しています。
手続き中の負担は書類準備と費用の工面
自己破産の後悔・満足度に関する調査(n=102)で、手続き中に最も大変だったことを尋ねたところ、書類・通帳の準備34.3%、費用の工面29.4%、精神的なストレス12.8%、郵便転送などの制限9.8%、周囲への秘密維持7.8%でした。「特になかった」は5.9%です。
不安の中心が財産や家族にある一方で、実際の負担として最も重かったのは、書類を揃える作業と費用の準備でした。費用の目安は債務整理の費用相場の解説、支払いが難しい場合の選択肢は費用が用意できないときの相談先の解説で確認できます。
年金の受給そのものへの影響は限定的
自己破産と年金に関する調査(n=100)によると、50歳以上の経験者100人のうち、「年金受給額に影響はなかった」48.0%、「手続き当時はまだ受給前だった」33.0%で、81.0%が受給そのものへの影響を実感していませんでした。
国民年金法第24条と厚生年金保険法第41条は、年金給付を受ける権利を譲渡・担保提供・差押えの対象外と定めています。一般的な借金の自己破産では、年金が差し押さえられたり受給額が減ったりすることは原則ありません。ただし、税金や社会保険料の滞納処分による差押えは例外です。
「年金から強制返済が引かれていたが止まった」という回答も2.0%ありました。年金を原資に返済を続けていた人が、手続きによってその負担から離れたケースにあたります。制度上の扱いは自己破産と年金の解説で整理しています。
第5章 事前の想像より重かったこと
ここまでは不安が実際を上回る結果が中心でしたが、実際の負担が事前の想像を超える調査結果もありました。手続きを検討する際は、確認しておく必要があります。
車を手放した後の移動手段
車を手放した75人が挙げた影響は、通勤・通学に支障が出た58.7%、活動範囲が狭まり移動の負担が増えた53.3%、送迎できず家族の生活にも支障が出た24.0%でした。「生活への影響はほぼなかった」は6.7%にとどまります。

財産としての車は手放しても代替がききますが、通勤や通院、家族の送迎といった日常の移動手段としての機能は、居住地域によっては代替が難しくなります。
生命保険を手放したことによる保障の喪失
生命保険を手放した64人のうち、76.6%が「家族の将来保障がなくなり不安だった」と回答しました。「子供の学資保険を失って後悔した」も29.7%です。第2章で見たとおり再加入できた人は71.0%いますが、解約から再加入までの期間、保障が途切れる点は残ります。
免責後も残る支払い
慰謝料・養育費の支払い義務があった81人のうち、72.8%が手続き後も支払いを継続し、21.0%は支払いが困難で交渉中でした。自己破産で借金の返済義務が免除されても、非免責債権の支払いは残ります。家計が悪化した状態では、この負担が重くのしかかります。
想定を超えた喪失感を持った層
「失ったもの」の調査では、「思っていたより多く失った」が25.0%でした。同じ調査で「意外と困らなかったことは特にない(困ることが多かった)」と答えた人も14.0%います。
別の調査になりますが、自己破産の後悔・満足度に関する調査(n=102)では、手続き後の生活で最も変化したこととして「クレジットカードが使えなくなった」が27.5%で2位に挙がりました。
信用情報への登録期間は債務整理と信用情報の登録期間の解説で確認できます。
第6章 相談先によって体験が変わる
13本を横断して見えたもう一つの事実が、事前説明の量に相談先ごとのばらつきがあることです。
| 調査テーマ | 事前説明が不十分だった、または受けていない人 |
|---|---|
| 年金・老後の生活設計 | まったく説明を受けなかった 35.0% |
| 管財事件になること | 説明が不十分・ほとんどなし 34.0% |
| 車の扱い | 説明が不十分・ほとんどなし 28.7% |
| 慰謝料・養育費の免責 | 説明が不十分で後から知った 13.6% |
| 生命保険の扱い | よくわからないまま手続きが進んだ 8.0% |

説明の有無は、手続きの結果そのものより、手続き中の見通しの立てやすさに影響します。管財事件になると同時廃止より期間が長くなり、管財人報酬として追加の費用が発生します。事前の説明がないまま進むと、費用や期間の面で想定外の負担が生じます。
一方で、子どもへの影響を調べた調査では、専門家への相談によって不安が「とても解消・軽減された」29.0%、「やや解消・軽減された」33.0%で、62.0%が軽減を実感していました。
専門家に相談した89人に限れば約7割にあたります。同じ調査で「あまり解消されなかった」19.0%、「全く解消されなかった」8.0%もあり、相談すれば必ず不安が解消するわけではないことも示されています。
無料相談は依頼の場ではなく、選択肢を確認する場として使われている
自己破産の無料相談に関する調査(n=100)によると、無料相談を利用した100人の最初の相談先は、弁護士事務所39.0%、司法書士事務所21.0%、法テラス21.0%、弁護士会の法律相談センター9.0%、自治体の無料相談8.0%でした。民間の事務所が60.0%、公的機関や士業団体の窓口が38.0%です。
相談前の不安の上位は、自己破産できるか分からなかった54.0%、費用がどのくらいかかるか51.0%でした。制度を使えるのかという適用可否と、いくらかかるのかという金額が中心にあります。
相談後の行動は次のとおりです。
| 相談後に取った行動 | 割合 |
|---|---|
| そのまま自己破産を依頼した | 35.0% |
| 他の事務所にも相談した | 32.0% |
| 任意整理・個人再生など別の手続きを選んだ | 17.0% |
| 手続きを行わないことにした | 13.0% |

最初の相談先にその場で依頼した人は35.0%で、残る65.0%は他の窓口を回るか、別の結論に至っています。相談前に「強引に契約を勧められないか」を不安に挙げた人が16.0%いましたが、弁護士・司法書士への依頼は委任契約であり、相談したことで契約が成立するわけではありません。
相談前の不安の2位が費用だったことを踏まえると、総額・内訳・分割の可否を書面で確認できるかどうかが、実務的な比較の基準になります。確認すべき観点は相談先を選ぶときの6つの観点で整理しています。
第7章 なぜ94.1%が「もっと早くすればよかった」と答えるのか
自己破産の後悔・満足度に関する調査(n=102)で、自己破産の経験者102人に、手続きを「もっと早くすればよかった」と思うかを尋ねた結果です。
| 回答 | 割合 |
|---|---|
| 強くそう思う | 54.9% |
| どちらかといえばそう思う | 39.2% |
| どちらかといえばそう思わない | 4.9% |
| 全くそう思わない | 1.0% |
94.1%が「もっと早く」と回答し、「全くそう思わない」は1人でした。手続き後の生活で最も変化したこととして「精神的に楽になった」を挙げた人が53.9%と過半数を占めていることと合わせると、決断を先延ばしにしていた期間が負担として認識されていることがうかがえます。
この回答の背景は、借入の経緯に表れています。自己破産に至った借入先に関する調査(n=100)では、自己破産に至った借入先は、消費者金融81.0%、クレジットカードのリボ払い43.0%、銀行カードローン41.0%で、複数回答の合計は183.0%でした。1人あたり平均で約1.8種類の借入先を抱えていた計算になります。
借入が複数社になった理由は、「返済のために借り入れを繰り返した」43.0%と「1社の限度額では足りなくなった」40.0%で83.0%を占めました。新たな出費のためではなく、既にある借金への対応の結果として借入先が増えていく構図です。
決断時の借金総額は、300〜500万円未満29.0%が最多で、500万円未満が68.0%、1,000万円以上は11.0%でした。金額の大きさではなく、収入と返済のバランスが判断の分かれ目になっています。

他の手続きとの比較
自己破産以外の手続きについても、同時期に調査を行っています。
債務整理のきっかけ・家族への影響に関する調査(n=100)によると、債務整理(任意整理・個人再生・自己破産のいずれか)を経験した100人では、「もっと早く相談すればよかった」が69.0%、「ちょうど良いタイミングだった」24.0%、「もう少し自力で返済を続けてもよかった」7.0%でした。
決断のきっかけの1位は「毎月の返済が給料や収入を超えていた」45.0%です。
任意整理の後悔・満足度に関する調査(n=100)では、任意整理を経験した100人のうち、「後悔した」(強く34.0%+やや29.0%)が63.0%を占めました。後悔の理由の1位は「借金が思ったほど減らなかった」61.9%、2位は「完済期間が長く生活が苦しい」47.6%です。
任意整理では将来利息をカットしますが元本は原則として減額されないため、借金額や金利によっては減額効果が限られます。一方で「やってよかった・後悔していない」も37.0%あり、その理由の1位は「精神的に楽になった」59.5%でした。
3つの数字を並べると次のようになります。
| 調査対象 | 振り返っての評価 |
|---|---|
| 自己破産の経験者102人 | 「もっと早くすればよかった」94.1% |
| 債務整理全体の経験者100人 | 「もっと早く相談すればよかった」69.0% |
| 任意整理の経験者100人 | 「後悔した」63.0% |
任意整理の後悔の理由の5位に「別の手続き(自己破産等)にすべきだった」11.1%が入っている点も、手続きの選択が結果を左右することを示しています。どの手続きが自分の状況に合うかは債務整理の種類と違いの比較で確認できます。
13本の調査から読み取れること
手続き前の不安は、実際に起きたことより大きく見積もられる傾向がありました。子どもの進学、転校、夫婦関係、管財人との面談、携帯電話、銀行口座、年金のいずれも、事前に語られるイメージと実際の結果には差がありました。
一方で、車を手放した後の移動手段、生命保険の解約による保障の空白、免責後も残る慰謝料・養育費の支払いは、実際の負担が事前の想像を上回る結果となっています。「思っていたより多く失った」と回答した25.0%も、この層にあたります。
そして、事前の説明の量には相談先ごとにばらつきがありました。年金や老後の生活設計についてまったく説明を受けなかった人が35.0%、管財事件になることの説明が不十分だった人が34.0%です。手続きの結果は法律で決まりますが、その見通しをどこまで共有できるかは相談先によって変わります。
自己破産の経験者の94.1%が「もっと早くすればよかった」と答え、その借入経緯の83.0%が返済のための借入や限度額の不足によるものでした。返済のために借入を重ねる状態に入っている場合、金額の大小にかかわらず、返済の見通しを早い段階で確認することが判断の材料になります。
関連する調査・解説
自己破産の仕組み・条件・流れは自己破産とは何かの解説、生活・仕事・家族への影響の全体像は自己破産したらどうなるかの解説で整理しています。
自分の状況でどの手続きが選択肢になるかを先に確認したい場合は債務整理の診断ツールをご利用ください。
相談先を選ぶ際の費用・実績の比較は自己破産の相談先を費用と実績で確認する、債務整理全体の相談先は債務整理の相談先を比較するからご確認いただけます。
債務整理経験者1,024人を対象に相談先の決め手を調べた調査は債務整理相談ナビ白書2026で公開しています。
本レポートの基になった13本の調査
- 自己破産で「失ったもの」の実態調査|経験者100人に聞いた財産・生活への影響
- 自己破産「もっと早くすればよかった」が94%—経験者102人の後悔・満足度調査
- 破産管財人との面談「思ったより話しやすかった」が64%—管財事件経験者100人の実態調査
- 自己破産で車を「手放した」が74.3%—経験者101人の実態調査
- 自己破産で生命保険は「解約」が54%—経験者100人の実態調査
- 自己破産で銀行口座「凍結された」は54%—経験者100人の実態調査
- 自己破産で「離婚した」は14%—配偶者がいた経験者100人に聞いた夫婦関係の実態調査
- 自己破産でも年金は原則影響なし—50歳以上経験者100人調査、本当の不安は「老後の生活設計」
- 自己破産後も慰謝料・養育費の「支払いを継続している」は72.8%—離婚時に支払い義務があった経験者100人の実態調査
- 自己破産に至った借入先は「消費者金融」が81%—経験者100人の実態調査
- 自己破産「子どもの進学が不安」54%|経験者100人に聞いた子どもへの影響調査
- 自己破産後の携帯、端末の分割購入が「できた」は69%—経験者100人の実態調査
- 自己破産の無料相談後「そのまま依頼」は35%—利用者100人の相談先・不安・行動調査
