自己破産「子どもの進学が不安」54%|経験者100人に聞いた子どもへの影響調査

自己破産の手続きを進めるにあたり、お子さまの生活や将来に対してどのような不安を覚えましたか?
執筆:大泉 聡(弁護士・司法書士に取材)

自己破産を検討する親にとって、最も気がかりなのは自分自身のことよりも子どもへの影響ではないでしょうか。「進学に響くのではないか」「転校させることになるのではないか」——手続きの前には、子どもの将来に関わる不安が次々と浮かびます。

今回、自己破産の手続きを行った経験があり、手続き当時18歳未満の子どもがいた100人を対象に、手続き前に感じた不安と、実際に子どもの生活に起きた変化について調査しました。

事前の不安として最も多かったのは「将来の進学・進路に悪影響が出ること」で54.0%。一方、実際に受験先の変更や奨学金の活用に至ったのは21.0%にとどまりました。

目次

調査概要:「自己破産が子どもに与える影響」に関する調査

項目内容
調査期間2026年7月22日(水)〜2026年7月24日(金)
調査方法インターネット調査
調査人数100人
調査対象調査回答時に自己破産の手続きを行った経験があり、手続き当時18歳未満の子どもがいたと回答したモニター
調査元株式会社cielo azul 債務整理相談ナビ
モニター提供元サクリサ

手続き前の不安——「将来の進学・進路に悪影響が出ること」が54.0%

「自己破産の手続きを進めるにあたり、お子さまの生活や将来に対してどのような不安を覚えましたか?」と尋ねたところ(複数回答可)、以下の結果となりました。

順位不安の内容割合
1位将来の進学・進路に悪影響が出ること54.0%
2位引っ越しや転校を余儀なくされ、子どもの友人関係が壊れてしまうこと37.0%
3位塾や習い事を辞めさせなければならなくなること30.0%
4位子ども名義の預貯金や財産まで没収されてしまうこと27.0%
5位奨学金が借りられなくなるなど、金銭的な教育サポートができなくなること26.0%
6位家庭内の雰囲気が暗くなり、子どもの精神面に悪影響が及ぶこと23.0%
7位学校や周囲に「親が自己破産した事実」が知られてしまうこと21.0%
特に不安は感じなかった11.0%
その他3.0%
自己破産の手続きを進めるにあたり、お子さまの生活や将来に対してどのような不安を覚えましたか?

過半数にあたる54.0%が「将来の進学・進路に悪影響が出ること」を挙げ、他の項目を大きく引き離しました。

上位に並んだのは、進学(54.0%)・友人関係(37.0%)・塾や習い事(30.0%)と、いずれも子どもの教育環境に関わる項目です。手続き前の親の関心が、目の前の生活費よりも子どもの将来に向いていることがうかがえます。

4位の「子ども名義の預貯金や財産まで没収されてしまうこと(27.0%)」は、自己破産で処分対象になる財産の範囲が正確に理解されていないことの表れとも読み取れます。

子ども名義の預貯金であっても、実質的に親の財産と評価される場合は処分対象になり得る一方、子ども自身が贈与を受けて管理している財産まで一律に没収されるわけではありません。

「特に不安は感じなかった」は11.0%にとどまり、9割近くが何らかの不安を抱えて手続きに臨んでいたことになります。

実際に起きた変化——「家賃の安い物件へ引っ越した」が34.0%で最多

「自己破産後、実際にお子さまの生活や環境に起きた変化(影響)について教えてください」と尋ねたところ(複数回答可)、以下の結果となりました。

順位実際に起きた変化割合
1位家賃の安い物件へ引っ越した、または実家に身を寄せた34.0%
2位旅行や外食、お小遣いなどの「一時的な贅沢」を減らした33.0%
3位習い事や塾の数を減らした、または変更した32.0%
3位特に影響はなかった(普段通りの生活を維持できた)32.0%
5位受験先を私立から公立へ変更、または奨学金を活用した21.0%
6位引っ越しに伴い、転校・転園が発生した16.0%
その他3.0%
自己破産後、実際にお子さまの生活や環境に起きた変化(影響)

最も多かったのは「家賃の安い物件へ引っ越した、または実家に身を寄せた(34.0%)」でした。次いで「一時的な贅沢を減らした(33.0%)」「習い事や塾の数を減らした、または変更した(32.0%)」と続きます。

上位に並んだのは、住居費の見直しと支出の圧縮です。自己破産そのものが子どもに直接何かをもたらすというより、手続きを機に家計の水準を下げたことが、子どもの生活に反映されている形です。

一方で「特に影響はなかった(普段通りの生活を維持できた)」も32.0%あり、約3人に1人は子どもの生活を維持できていました。

進路に直結する「受験先を私立から公立へ変更、または奨学金を活用した」は21.0%、「引っ越しに伴い、転校・転園が発生した」は16.0%と、いずれも2割前後にとどまっています。

事前の不安と実際に起きた変化のギャップ

Q1の不安とQ2の実際の変化は選択肢が一対一で対応しているわけではないため単純な比較はできませんが、近い項目を並べると、不安が実際を上回っているものと、ほぼ一致しているものに分かれました。

項目手続き前の不安実際に起きた変化
進学・進路(受験先の変更・奨学金の活用)54.0%21.0%
転校・友人関係(引っ越しに伴う転校・転園)37.0%16.0%
塾・習い事(数を減らした、変更した)30.0%32.0%
不安なし/影響なし11.0%32.0%

差が大きかったのは進学・進路と転校です。手続き前には過半数が進学への悪影響を心配していましたが、実際に受験先の変更や奨学金の活用に至ったのは21.0%でした。転校・友人関係についても、不安37.0%に対して実際の転校・転園は16.0%です。

一方、塾や習い事は不安30.0%に対して実際32.0%と、ほぼ想定どおりの結果でした。月々の固定費として真っ先に見直される支出であるためと考えられます。

「特に不安は感じなかった」が11.0%だったのに対し、「特に影響はなかった」は32.0%です。手続き前の不安が実際より大きく膨らんでいた層が一定数いたことを示しています。

自己破産は借金を免責によってゼロにする手続きであり、子どもの進学や就職に法的な制限を課すものではありません。手続き前の不安の一部は、制度の内容が正確に伝わっていないことに由来していた可能性があります。

専門家への相談で不安が軽減した人は62.0%

「専門家へ相談・依頼をしたことで、お子さまへの影響に対する不安は解消・軽減されましたか?」と尋ねたところ、以下の結果となりました。

回答割合
とても解消・軽減された29.0%
やや解消・軽減された33.0%
あまり解消・軽減されなかった19.0%
全く解消・軽減されなかった8.0%
専門家には相談していない11.0%
専門家へ相談・依頼をしたことで、お子様への影響に対する不安は解消・軽減されましたか?

「とても解消・軽減された(29.0%)」と「やや解消・軽減された(33.0%)」を合わせると62.0%となり、6割を超える方が相談によって不安の軽減を実感していました。専門家に相談した89人に限れば、約7割にあたる62人が軽減を実感した計算になります。

一方、「あまり解消・軽減されなかった(19.0%)」「全く解消・軽減されなかった(8.0%)」も合計27.0%あり、相談すれば必ず不安が解消するわけではないことも示されています。

前章のとおり、手続き前の不安は実際に起きた変化より大きく膨らむ傾向がありました。

子ども名義の預貯金がどう扱われるか、住居をどうするか、学費の支払いをどう続けるかは、財産の内容や収入によって結論が変わります。何が起きて何が起きないのかを早い段階で確認できるかどうかが、不安の大きさを左右していると考えられます。

まとめ:自己破産が子どもに与える影響の実態

調査項目結果
手続き前の不安1位将来の進学・進路に悪影響が出ること(54.0%)
実際に起きた変化1位家賃の安い物件へ引っ越した、または実家に身を寄せた(34.0%)
実際に受験先を変更・奨学金を活用21.0%
特に影響はなかった32.0%
専門家への相談で不安が軽減62.0%

今回の調査では、手続き前に54.0%が子どもの進学・進路への悪影響を不安視していた一方、実際に受験先の変更や奨学金の活用に至ったのは21.0%でした。転校・転園も16.0%にとどまり、「特に影響はなかった」は32.0%を占めています。

実際に多く起きていたのは、住居費の見直しと日常の支出の圧縮でした。子どもの生活に変化が及ぶ場面はありますが、それは自己破産そのものが子どもに制限を課した結果ではなく、家計の立て直しに伴う変化です。

子どもへの影響が心配で手続きに踏み切れない場合は、何が処分対象になり何が残せるのかを確認したうえで判断することが、不安を実態に近づける手段になります。

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