債務整理とは?仕組み・デメリット・流れをわかりやすく解説

債務整理とは?4つの種類・費用・流れをわかりやすく解説
執筆:大泉 聡(弁護士・司法書士に取材)

監修者:弁護士 梅澤 康二

借金の返済が追いつかなくなったとき、その状態を放置すると、督促や差し押さえへと進んでしまうことがあります。

債務整理は、こうした行き詰まりを法律にもとづいて整理し直すための手続きです。国が認めた正式な制度であり、返済の負担を軽くしたり、場合によっては支払い義務そのものを免除したりできます。

このページでは、債務整理の全体像を一通り整理します。4つの種類とそれぞれの向き・不向き、費用や期間の目安、手続きの流れまでを、弁護士監修のもとでまとめました。

手続き後の生活がどう変わるかにも触れています。

目次

債務整理とは

債務整理とは、借金を減額または免除して、返済の負担を軽くするための法的手続きの総称です。裁判所を通す方法と通さない方法がありますが、どちらも「返済が難しくなった人の生活を立て直す」ことを目的としています。

具体的には、返済しきれない借金の総額を減らす、返済期間を延ばす、利息や元本の一部または全部を免除してもらう、といった調整が可能です。

借金を延滞している、返済額が収入の3分の1を超えている、といった状況であれば、すでに債務整理を検討してよい段階だといえます。

当サイトが債務整理の経験者503人を含む1,004人に行った調査(PRIZMA/2025年7月)では、「債務整理を決意したタイミング」として最も多かったのは「1か月の返済額が生活費を超えた」で45.3%。次いで「督促や取り立てが頻繁に来るようになった」が32.6%、「裁判所から通知が届いた」が17.1%でした。

年収の3分の1という目安に加えて、生活費が返済に押されはじめた段階で動く人が多い、という実態がうかがえます。

詳しい調査結果は「もっと早く来ていれば」専門家が語る相談者の誤算(1,000人調査)にまとめています。

債務整理を検討するタイミング

次のような状況に心当たりがあれば、相談を考える時期です。

  • 返済を月に1回以上遅らせている
  • 借金の総額が年収の3分の1を超えている
  • 複数の金融機関から借りている
  • 取り立てや催促の連絡が止まらない
  • リボ払いやカード返済が利息ばかりで元本が減らない

こうしたサインは、一人での立て直しが難しくなりつつある合図です。

先述の調査では、弁護士・司法書士の側にも「もっと早く相談してくれていれば」と感じた経験を尋ねています。最も多かった回答は「自己破産しか選べなくなっていた」で48.1%、続いて「差し押さえ直前だった」が46.1%でした。

これは裏を返せば、早い段階なら任意整理など、より負担の小さい方法を選べた可能性があったということです。

経験者の側から見ても、同じ傾向が表れています。当サイトが債務整理経験者100人に行った調査(2026年6月)では、相談や手続きを始めたタイミングについて「もっと早く相談すればよかった」と振り返った人が69%にのぼりました。

「ちょうど良いタイミングだった」は24%、「もう少し自力で返済を続けてもよかったと思う」は7%にとどまります。

債務整理の相談や手続きを始めたタイミング

専門家の側は「早ければ負担の小さい選択肢があった」と感じ、経験者の側は「もっと早く動けばよかった」と振り返る——タイミングへの後悔は、相談を受ける側と相談した側の双方に共通しています。

相談すべき状態かどうかの見分け方は、債務整理のタイミング|相談すべき状態の見分け方7つで具体的に整理しています。

債務整理の4つの種類

債務整理の4つの種類

債務整理には4つの方法があります。仕組みも対象になる人も異なります。

手続き名概要
任意整理裁判所を通さず、債権者と直接交渉して将来利息や返済計画を見直す
個人再生裁判所を通じて、元本を含む借金を法律の基準まで減らす
自己破産裁判所に申し立て、免責が認められれば返済義務が免除される
特定調停簡易裁判所の調停委員が間に入り、返済条件を話し合う

それぞれの詳細は、任意整理とは・個人再生とは・自己破産とは・特定調停とはの各ページで解説しています。

4つの減額幅・期間・財産への影響を横並びで比べて、自分に合う手続きを絞り込みたい場合は、債務整理の種類と違いを比較をご覧ください。

債務整理のメリットとデメリット

債務整理に共通するメリットは、返済の負担が軽くなること、取り立てや催促が止まること、そして家計を立て直す時間を確保できることです。

受任通知が債権者に届いた時点で本人への直接の督促が止まるため、精神的な余裕を取り戻しやすくなります。

一方でデメリットもあります。信用情報機関にいわゆる事故情報が登録され、数年間は新規の借り入れやクレジットカードの利用が制限されます。専門家に依頼する費用もかかり、自己破産では一部の財産を手放す場合があります。

ただし、家や財産を失う不安、周囲に知られる不安といったデメリットは、選ぶ手続きによって大きく変わります。

任意整理ならほとんど影響しないものが、自己破産では避けられない、ということもあります。次の章で、手続きごとの生活への影響を具体的に見ていきます。

債務整理後の生活はどう変わるか

債務整理をすると、信用情報への登録や一時的な制限は生じます。ただし「生活ができなくなる」「仕事を失う」といったことは、基本的にはありません。

信用情報(ブラックリスト)

債務整理をすると、信用情報機関に事故情報として登録されます。一般には手続きの完了からおおむね5年、手続きの種類によっては7年程度で削除されると考えられています。

この期間は、新しいクレジットカードやローンの契約、スマホの分割払いなどが通りにくくなります。

ただし、デビットカードやプリペイドカード、デポジット型クレジットカードといった代替手段があるため、日常の支払いに大きく困ることは多くありません。

登録される期間や確認の方法は債務整理のブラックリストはいつからいつまで?で、登録中でも使えるカードはデポジット型クレジットカードとは?で詳しく扱っています。

家族や勤務先への影響

「家族や会社に知られるのでは」という不安は多く聞かれます。

当サイトが債務整理経験者100人に行った調査(2026年6月)では、「家族に相談したうえで手続きを進めた」人が52%と過半数を占めました。「手続き中に家族に知られた」は18%、「家族に知られないまま手続きできた」も18%です(一人暮らしのため該当しない12%)。

債務整理の手続きについて家族に知られましたか?

債務整理は家族に隠して進めるものと思われがちですが、実際には、家族に打ち明けたうえで手続きに入るケースが多数派です。一方で、同居家族に知られないまま完了できた人も2割弱おり、手続きの選び方によっては知られずに進められる余地もあります。

裁判所を通さず官報にも載らない任意整理は、家族や職場に最も知られにくい手続きです。

一方、個人再生と自己破産はどちらも裁判所を通す手続きで、官報に掲載されるほか、家計の状況を示す書類の提出を求められる場面もあるため、同居している家族には任意整理より気づかれやすくなります。

ただし、いずれの手続きでも戸籍や住民票に記載されることはありません。知られたくない事情があれば、郵送物の差出人名を個人名に変えるなど、最初に相談しておくと安心です。

勤務先についても、給与の差し押さえや裁判所からの通知がない限り、会社が手続きを知ることはありません。自己破産や個人再生で官報に載っても、会社が自動的に把握するわけではないのが実情です。

詳しくは債務整理は家族にバレる?、自己破産すると会社にバレる?をご覧ください。

銀行口座・携帯電話・財産

債務整理の対象にその銀行からの借り入れが含まれる場合、口座が一時的に凍結されることがあります。給与振込に使っている口座なら、別の銀行口座を用意しておくと安心です(債務整理で銀行の口座凍結は起きる?)。

携帯電話は、端末代を分割で支払っている途中だと、その分割が対象に含まれた場合に解約となることがあります。通信料金を払い続けていれば、契約の継続も機種変更も可能です(自己破産で携帯が分割中だとどうなる?)。

財産については、任意整理・個人再生・特定調停では手放す必要は基本的にありません。自己破産の場合も、99万円以下の現金や生活に必要な家財などは「自由財産」として手元に残せます(自己破産しても残せる財産とは?)。

数年間の信用情報の制限はありますが、その間に家計を立て直せると考えれば、債務整理は再スタートの起点になります。

債務整理の手続きの流れ

手続きの細かい流れは種類によって変わりますが、大きな枠組みはどれも共通しています。弁護士や司法書士に依頼すれば、複雑な作業の大半を代行してもらえるため、自分でするのは多くの場合「最初の相談」と「必要書類の準備」だけです。

おおまかには、専門家への相談・契約から始まり、受任通知の送付で取り立てが止まり、借入状況の確認と引き直し計算を経て、和解交渉または裁判所への申し立てへと進みます。

最後に、和解の成立、あるいは免責・再生計画の認可決定で手続きが完了します。

ステップ内容所要期間
① 相談・契約無料相談から正式依頼(委任契約)へ即日〜1週間
② 受任通知の送付取り立て・催促が停止即日
③ 債務調査・引き直し取引履歴の開示と計算約2〜3週間
④ 交渉・書類準備各債権者と交渉、または申立書類の作成約1〜2か月
⑤ 手続き完了和解成立・免責決定など約3〜6か月(手続きにより異なる)

引き直し計算の段階で過払い金が見つかれば、この時点で返還を請求します。任意整理なら和解書の締結、自己破産・個人再生なら裁判所の審理を経て決定が下ります。手続きごとの流れは、任意整理の流れ(7ステップ)、個人再生の流れ、自己破産の流れで詳しく解説しています。

債務整理にかかる期間と費用はどれくらい?手続き別の目安

債務整理にかかる期間は、特定調停が約2か月、任意整理が2〜4か月程度、自己破産の同時廃止が2か月〜半年程度、個人再生と自己破産の管財事件が半年〜1年程度です。

弁護士費用の目安は、任意整理が1社あたり4〜10万円程度、個人再生が27.5万〜55万円程度、自己破産(同時廃止)が22万〜33万円程度で、個人再生と自己破産では別に裁判所費用がかかります。

手続きの種類期間の目安特徴
任意整理約2〜4か月(相談から和解まで)債権者との交渉で進める。裁判所を通さない
個人再生約6か月〜1年(申立てから最短で約6か月、相談からは1年程度)裁判所の手続きのため期間が長い。継続的な収入の見込みが必要
自己破産約2か月〜半年(同時廃止)/約半年〜1年(管財事件)財産の調査や免責の審理がある
特定調停約2か月(申立てから終了まで)自分で申し立てられるが、本人が裁判所へ2回程度出向く

期間に関するの出典は、任意整理・個人再生(相談から)・自己破産(同時廃止)が金融庁・消費者庁「多重債務者相談の手引き」(2011年8月)、個人再生(申立てから)が鹿児島地方裁判所「個人再生手続説明書」、自己破産(管財事件)が最高裁判所「令和7年司法統計年報 民事・行政編」第107表、特定調停が東京簡易裁判所「特定調停」です。

費用の目安は次のとおりです。

手続きの種類弁護士費用の目安司法書士費用の目安備考
任意整理1社あたり4〜10万円程度(着手金2〜5万円+解決報酬2〜5万円)1社あたり4〜10万円程度(1社140万円以下の借入に限る)裁判所費用はかからない。減額報酬が加算される場合あり
個人再生27.5万〜55万円程度(住宅ローン特則ありは33万〜55万円程度)33万〜38.5万円程度(書類作成の支援が中心)裁判所費用が別にかかる。個人再生委員が選ばれる裁判所では分割予納金も必要
自己破産同時廃止22万〜33万円程度/少額管財33万〜44万円程度20万〜30万円程度(書類作成の支援が中心)裁判所費用が別にかかる。管財事件は予納金だけで20万円以上
特定調停——自分で申し立てる場合、裁判所に払う費用は債権者1社につき500円程度

弁護士・司法書士の費用は、債務整理の費用はいくら?手続き別の相場と内訳で、公開されている事務所の料金表をもとに整理した目安です。

特定調停の費用は東京簡易裁判所「特定調停」の記載によります。手元の資金が足りない場合でも、費用の分割払いや法テラスの立替制度を使える場合があります(法テラスの利用条件と債務整理の費用)。

弁護士と司法書士、どちらに頼むか

債務整理は、弁護士か司法書士のいずれかに相談します。どちらも法律の専門家ですが、扱える範囲に違いがあります。

項目弁護士司法書士
代理できる範囲制限なし1社あたり140万円以下の債権のみ
裁判所での手続き代理可能簡易裁判所の範囲に限られる
対応できる手続き任意整理・個人再生・自己破産すべて任意整理が中心
対応エリア全国地域密着型が多い

借入の総額が1社あたり140万円を超える場合や、自己破産・個人再生を考えている場合は、扱える範囲に制限のない弁護士への依頼が確実です。一方、少額の任意整理で費用を抑えたい場合は、司法書士も有力な選択肢になります。両者の違いと選び分けは債務整理は司法書士に相談できる?140万円の壁で詳しく解説しています。

依頼先の方向性が決まったら、あとは具体的な事務所を費用・実績・相談体制で比べていく段階です。全国に対応する事務所を横断して確認したい場合は、債務整理の相談先を費用・実績で比較するから確認できます。

債務整理のよくある質問

債務整理をすると家族や会社に知られますか

手続きによって変わります。裁判所を通さず官報にも載らない任意整理は、家族や職場に最も知られにくい手続きです。

個人再生と自己破産は裁判所を通すため官報に掲載され、家計の状況を示す書類の提出を求められることもあり、同居家族には気づかれやすくなります。

ただし、いずれの手続きでも戸籍や住民票に記載されることはなく、給与の差し押さえなどがない限り、会社が自動的に把握することもありません。

郵送物の差出人名や連絡方法を事前に相談しておくと、知られるリスクをさらに抑えられます。

ブラックリストはいつ消えますか

手続きの完了からおおむね5年、種類によっては7年程度で信用情報から削除され、クレジットカードなども再び作れるようになります。

家や車を手放さずに債務整理できますか

任意整理なら財産は基本的に残せます。個人再生でも、住宅ローンの特則を使えば家を残せる場合があります。一方、自己破産では一定以上の価値がある財産は手放すのが原則です。

まとめ

債務整理は、借金問題を解決して生活を立て直すための制度です。種類ごとに減らせる額や手放す財産が異なるため、自分の収入・資産・借入額に合った方法を選ぶことが何より大切になります。

どの手続きが合うかの見当がついたら、次は相談先を選ぶ段階です。

当サイトでは、債務整理の経験者1,024人への調査をまとめた債務整理相談ナビ白書2026で「相談先選びの決め手」を分析しており、その結果をふまえて債務整理の相談先を費用・実績で比較するページで全国対応の事務所を整理しています。

債務整理に関するQ&Aは債務整理の基礎知識(Q&A一覧)からまとめてご覧いただけます。
ここでは、債務整理の基本から種類・影響・手続きまでを、弁護士監修のもとで整理して解説します。

債務整理とは?の監修者

この記事の監修者
プラム綜合法律事務所 梅澤康二

弁護士 梅澤 康二
プラム綜合法律事務所代表

2006年司法試験合格後、東京大学法学部卒業。第二東京弁護士会所属(登録番号37942)。アンダーソン・毛利・友常法律事務所での6年間の執務を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を開設。

大手事務所と同等のクオリティを意識しながら企業法務から一般民事まで総合的なリーガルサービスを提供。

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