
携帯が「分割中」といっても、端末代の分割(割賦)が残っているのか、通信料金を滞納しているのかで結論が変わります。
自己破産を申し立てたらソフトバンクは強制解約される?端末は没収される?乗り換えはできる?――こうした不安は、契約の種類と支払い状況を整理すれば、かなり正確に見通せます。
この記事では、ソフトバンク・au(KDDI)の割賦約款など一次資料と、自己破産の経験者100人への調査をもとに、「分割中に自己破産すると何が起きやすいか」と「手続きのあと、実際に携帯を契約できたのか」を整理します。
自己破産の全体像は自己破産とは?借金がゼロになる仕組み・デメリット・流れをわかりやすく解説で確認できます。
自己破産すると端末代は分割できなくなり残額を一括請求される、携帯回線は使い続けられることが多い
携帯の「分割中(端末代の割賦が残っている状態)」で自己破産を申し立てると、ソフトバンクでもドコモでもauでも、端末代の割賦契約は解除される(または期限の利益を失って残額を一括請求される)可能性が高いです。
これは各社の約款に、破産の申立てを期限の利益喪失の事由として明記した条項があるためです。
一方で、端末代を完済していて通信料金の滞納もなければ、自己破産そのものを理由に「必ず回線が止まる」とは限りません。
実際、自己破産の手続きを完了したあとに携帯電話の契約・端末の分割購入を申し込んだ経験者100人への調査では、回線の契約と端末の分割購入がともにできた人が69.0%、回線契約に限れば90.0%ができていました(債務整理相談ナビ調べ・2026年7月)。

ただし、支払い方法がクレジットカードやキャリア決済だと、カード停止により支払いが滞り、結果として利用停止につながることがあります。
「没収(取り上げ)」は、破産手続で換価(売却)する必要がある財産に当たるかどうかで決まります。スマホは生活必需品で中古価格も落ちやすいため、端末1台が直ちに問題になるケースは多くありませんが、高額端末を複数台保有している場合などは別です。
まず確認する3点
次の3つのうち1つでも当てはまると、携帯が止まったり、端末の分割が続けられなくなったりする可能性が高くなります。
- 端末代の分割(割賦残)があるか
- 通信料金(通話料・データ・オプション)に滞納があるか
- 支払い方法が「クレジットカード/キャリア決済」になっていないか
検索で多い「携帯 分割中」はほぼ端末代(割賦)を指しますが、実務上は次の2つが混ざります。
- スマホ端末代の分割(割賦) 端末を分割払いで買っていて、毎月の端末代が残っている状態。自己破産をすると問題が発生しやすいのはこちらです。
- 通信料金の滞納 通話料やデータ通信料などの未払い。滞納が続くと利用停止や強制解約に進みます(自己破産に限りません)。
端末の分割は「回線とは別の契約」—3社の約款で共通する扱い
なぜ端末代が分割中だと使えなくなりやすいのか。理由は、回線契約(通信サービス契約)と端末の分割契約(割賦契約)が、法的にまったく別の契約だからです。
これは各社が約款で明示しています。ソフトバンクの個品割賦購入約款には、通信サービス契約と割賦契約は別の契約であり、通信サービス契約を解約しても賦払金の支払義務は残ると記載されています。
KDDIの個品割賦販売契約約款(指定店舗用)にも、個品割賦販売契約はau/UQ mobile通信サービスとは別の契約であり、通信サービスを解約しても完済まで賦払金の支払いが必要である旨が書かれています(2026年2月26日版・参照日2026年8月7日)。
つまり「回線を解約すれば端末代も終わる」わけではなく、逆に「端末代が払えなくなっても回線が自動的に消える」わけでもありません。ここを分けて考えることが出発点です。
ソフトバンクの約款:破産の申立てで「当然に」期限の利益を失う
ソフトバンクの個品割賦購入約款第6条(期限の利益喪失)第1項第4号は、破産・民事再生・特別清算・会社更生その他裁判上の倒産処理手続の申立てを受けたとき、または自らこれらの申立てをしたときに、当然に期限の利益を失い、直ちに債務を履行するものと定めています。
さらに第8条(解除)で、第6条各項各号の事由に該当した場合はソフトバンクが本契約を解除できるとされています。
期限の利益を失うと、これまでのように毎月分割で払う扱いができず、残っている端末代をまとめて(残額一括で)支払うよう求められることがあります。
結論:分割の残りをまとめて請求されることがあり、契約も解除されることがあります。
au(KDDI)の約款:同じ構造に加え、端末代の滞納で回線も解除されうる
KDDIの個品割賦販売契約約款第10条(期限の利益の喪失)第1項第4号も、ソフトバンクとほぼ同じ文言で、破産等の申立てを当然の期限の利益喪失事由としています。
auの場合、もう1点押さえておきたい条項があります。同約款第7条(債務の履行の継続)第2項は、購入者が割賦契約に基づく債務の支払いを怠ったときは、当社等が指定携帯電話回線に係る契約を解除することができると定めています(解除の際は事前に通知されます)。
端末代の未払いが回線の解除につながりうることが、約款上はっきり書かれているということです。「回線と端末は別契約だから回線は安全」と単純に考えないほうがよい根拠がここにあります。
結論:端末代が払えなくなると、回線まで解約されることがある
ドコモ:分割払いは審査があり、支払い方法も限定されている
ドコモは「機種を分割払いで購入する」のページで、分割払い契約(個別信用購入あっせん契約/割賦販売契約)の申込みには本人確認書類と審査が必要であること、契約前後に加盟信用情報機関へ個人信用情報を照会・登録することを明記しています。
あわせて、分割支払金の支払いは口座振替またはクレジットカードに限られること、新規契約と同時の場合を除き、通信料金等の支払い実績が確認できる人に限られることも記載されています(参照日2026年8月7日)。
自己破産の前後は、クレジットカードが使えなくなり、通信料金の支払い実績にも空白が生じやすい時期です。ドコモの分割払いは、この2つの条件の両方に引っかかりやすい設計になっています。
なお、民法137条は「債務者が破産手続開始の決定を受けたとき」を期限の利益喪失事由としていますが、各社の約款は「申立てをしたとき」を事由に含めています。約款のほうが法律より早い時点で効力を持つ設計になっている点に注意してください。
結論:分割の支払い方法がクレジットカードか口座振替に限られている
手続き後、携帯を契約できた人はどれくらいか(経験者100人調査)
ここまでは約款、つまり「制度上どうなりうるか」の話です。では実際に自己破産を終えた人は、その後どうなったのでしょうか。
債務整理相談ナビでは2026年7月、自己破産の手続きを完了し、その後に携帯電話の新規契約・機種変更・端末の分割購入を申し込んだ経験がある100人に調査を行いました。
| 手続き完了後の状況 | 割合 |
|---|---|
| 携帯回線の契約・端末の分割購入ができた | 69.0% |
| 携帯回線は契約できたが、端末の分割購入はできなかった | 21.0% |
| 携帯回線も端末の分割購入もできなかった | 9.0% |
| その他 | 1.0% |

回線契約も端末の分割購入もできなかった人は9.0%にとどまりました。裏を返せば、回線契約そのものは90.0%(69.0%+21.0%)ができています。
そして「回線は契約できたが端末の分割購入はできなかった」が21.0%。前の章で見た約款の構造、つまり影響が出やすいのは通信そのものではなく端末代の割賦のほうだ、という点が、経験者の回答にも表れています。
申し込んだ時期を見ると、手続き完了から6か月以上1年未満が28.0%、1年以上3年未満が27.0%で、この2つが過半数を占めました。6か月未満の19.0%を加えると、1年未満に申し込んだ人が47.0%にのぼります。

また、携帯を利用するために行ったこと(複数回答)は、格安SIM・サブブランドでの新規契約・乗り換えが42.0%で最多、大手キャリアでの新規契約・乗り換えが39.0%、端末の一括購入が32.0%でした。

ただし、回線契約も端末の分割購入も審査基準は各社とも公表していません。可否は借入状況や申込時期、滞納の有無などによって異なるため、この結果は実態の傾向を示すものであり、契約できることを保証するものではありません。
調査の全項目と回答の内訳は自己破産後の携帯、端末の分割購入が「できた」は69%—経験者100人の実態調査で公開しています。
自己破産で携帯(スマホ)は没収される?調べられる?

没収されるかどうかは「その端末が換価すべき財産か」で決まります。
結論としては、端末1台が直ちに問題になりやすいわけではありません。ただし、破産手続は申立人の財産状況を前提に進みます。裁判所は手続の中で財産を把握し、必要に応じて資料提出を求めます。
注意が必要なのは次のようなケースです。
- 高額端末を複数台持っている
- 売却価値が明確に高い端末を持っている
- 申立直前に端末を買い替えている(財産状況の説明が必要になることがあります)
キャリア決済/クレジットカード払いは止まる可能性がある
「回線契約は残っていても、支払いができなくなって未払いが発生し、結果として利用停止になる」パターンが現実に多くあります。
自己破産をするとクレジットカードは使えなくなります。支払い方法をカードに設定していると、支払っているつもりでも引き落とせず、未払いが発生します。前述のとおり、端末代の未払いは回線の解除事由にもなり得ます。
目標は、未払いを発生させない支払い経路に早めに寄せることです。
- 支払い方法を口座振替や払込票へ変更できるか確認する
- 変更できない場合は、止まる前提で代替回線(家族回線・別名義)も検討する
家族のファミリー契約への影響
本人が主契約(代表回線)で家族がぶら下がっている場合、本人側の停止・解約が家族回線にも波及することがあります。
家族が主契約で、本人が家族回線として利用している場合、本人の自己破産が直ちに家族契約へ影響するとは限りません。判断の中心にあるのは、あくまで契約者の支払い状況です。
なお、前述の調査では「家族名義で契約した」が22.0%ありました。ただし名義人である家族が支払い義務を負う点には注意が必要です。滞納すれば家族の信用情報に記録が残るため、事前の話し合いが欠かせません。
端末の分割払いはいつからできる?信用情報の登録期間の目安
端末代の分割払いは割賦契約なので、申し込むと信用情報が確認されます。ただし、審査に影響が出る期間はいつまでも続くわけではありません。
携帯の分割払いで照会・登録される指定信用情報機関はCIC(割賦販売法に基づく指定信用情報機関)です。前掲のソフトバンク約款とKDDI約款には、登録される情報と期間の表が掲載されており、契約内容に関する情報は契約期間中および契約終了後5年以内、支払いを延滞した事実は契約終了日から5年間登録されると記載されています。
つまり端末分割の審査に効いてくる目安は、おおむね完済・契約終了から5年です。
ただし、前述の調査では〜回線契約と端末の分割購入の両方をできています。5年の経過を待たずに申し込んでいる人のほうが多かったということです。
信用情報の登録期間や、開示請求で自分の状況を確認する方法、官報情報の扱いについては債務整理のブラックリストはいつからいつまで?解除される(消える)タイミングと確認方法も解説で整理しています。
携帯料金を滞納したまま解約していると、他社でも契約できないことがある
自己破産をすると他社に乗り換えられなくなるのではないか、と心配する人がいます。ここで関係するのは信用情報ではなく、別の仕組みです。
携帯電話会社などが参加する一般社団法人電気通信事業者協会(TCA)は、不払者情報の交換という制度を運用しています。携帯料金を滞納したまま契約解除になった人の情報を各社で共有し、新規契約の審査に使う仕組みです。共有される期間は契約解除から5年以内で、経過後は自動的に消えます。
ただし自己破産をした人は、この仕組みの対象から外れます。同ページには、自己破産等により免責が決定している人は対象に含まれないと明記されています。滞納していた料金を完済した場合も同じく対象外です。
条件は、料金の滞納があった携帯会社で免責の事実が確認できることです(参照日2026年8月7日)。
ポイント:滞納を残したまま解約していると他社の審査で不利になりますが、自己破産で免責が決まっていれば、この仕組みの対象にはなりません。
申立前に「携帯だけ払う」は偏った支払いとして問題になることがある
自己破産をする場合、ある借入先(たとえば携帯会社)だけを先に優先して支払うと、手続の中で問題になることがあります。
自己破産には「すべての債権者を公平に扱う」という前提があるため、支払いが苦しい時期や申立て前後に特定の相手だけに返すと、偏った支払い(偏頗弁済)と見られる可能性があるからです。
その結果、破産管財人による否認の対象になったり、免責の判断に影響したりするおそれがあります。
スマホを止めたくない事情は正当なものですが、自己判断で払うのではなく、依頼先の弁護士・司法書士にその事情をそのまま伝えて方針を決めてください。
ケース別:スマホを使い続けるための対処法

ケース1:端末代が分割中(割賦残あり)
やることは3つです。
- データのバックアップ(連絡先・二段階認証・写真)
- 代替端末の確保(中古・SIMフリー・家族の端末など)
- 相談時に「端末分割が残っている」ことを最初に伝える
重要なのは「分割を維持できる前提に立たない」ことです。維持できたらそれでよく、維持できない前提で生活を止めない準備を先にしておきます。
ケース2:通信料金を滞納している
滞納があると、自己破産とは別の理由で回線が止まります。
滞納をどう扱うかは、申立時期や他の債権者との関係とセットで決める必要があります。前章のとおり「とりあえず携帯だけ払う」は避け、依頼先に「滞納がある」「止めたくない」事情をそのまま伝えてください。
ケース3:クレジットカード払い/キャリア決済で払っている
カードが止まる前に、支払い方法を口座振替や請求書払いに変更できるか確認してください。変更できない場合は、回線が止まったときに備えて、家族の回線など別の連絡手段も用意しておきます。
ケース4:分割審査が通りにくい時期に端末が必要
端末分割が通りにくい時期は、端末を自分で用意するのが最短です。
前述の調査でも、端末を一括購入した人が32.0%、中古端末を購入した人が21.0%だった一方、分割購入できるまで待った人は10.0%にとどまりました。多くの人は待つのではなく、別の手段で端末を確保しています。
- 中古端末を買う
- 端末を一括購入する(高額機種にこだわらない)
- 家族が主契約で端末を用意し、本人は家族回線として使う
回線については、格安SIM・サブブランドでの契約が42.0%で最多でしたが、大手キャリアでの契約も39.0%あり、大きな差はありませんでした。格安SIMに限定して考える必要はありません。
ケース5:ソフトバンクからドコモへ、auへ乗り換えできる?
未払いが残ったまま強制解約になっていると、他社への乗り換え・新規契約の審査で不利になることがあります。前述のTCAの不払者情報の交換が働くためです。
ただし未払い料金を完済した場合は対象外となり、自己破産等で免責が決定している人も対象に含まれないとされています。
よくある質問
まとめ
端末代が分割中のまま自己破産をすると、ソフトバンク・ドコモ・auのいずれでも、毎月分割で払い続けることはできなくなります。残額をまとめて請求されたり、契約を解除されたりします。各社の約款が、破産の申立てを期限の利益を失う事由と定めているためです。ただしこの残額も免責の対象になるため、支払義務は残りません。
一方、手続きを終えたあとは、思っているほど厳しくありません。経験者100人への調査では、回線を契約できた人が90.0%、回線も端末の分割購入もできなかった人は9.0%でした。携帯そのものが使えなくなる人はごく一部です。
審査が通りにくいのは端末の分割購入のほうですが、端末は一括購入や中古でも用意できます。調査でも、一括購入した人が32.0%、中古端末を買った人が21.0%だった一方、分割できるまで待った人は10.0%にとどまりました。
焦って携帯代だけを先に払うと、かえって手続きに影響が出ることがあります。まずは端末代の残り・滞納の有無・支払い方法の3つを整理して、最初の相談でそのまま伝えてください。伝えておけば、スマホを止めずに進める方法を一緒に考えられます。
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