債務整理をしたら住宅ローンはどうなる?任意整理・個人再生・自己破産ごとに解説

債務整理と住宅ローン
執筆:大泉 聡(弁護士・司法書士30人超取材)

住宅ローンが残っている状態で借金問題を抱えると、「債務整理をしたら家はどうなるのか」「マイホームを手放さなければならないのか」という不安が最初に頭をよぎります。

結論から言うと、選ぶ手続きによって家を守れるかどうかが決まります。任意整理と個人再生では条件次第で家を残すことができますが、自己破産では原則として家を失います。

このページでは、3つの債務整理の手続きごとに「既存の住宅ローンへの影響」を整理します。どの手続きが自分の状況に合うかの判断材料としてご活用ください。

目次

3つの手続きの影響を比較表で確認

債務整理の種類によって、住宅ローンと家への影響は大きく異なります。まず下の比較表で3つの手続きの違いを確認してから、それぞれの詳細を読み進めてください。

手続き既存の住宅ローン家を守れるか
任意整理住宅ローンを対象から外せる守れる(住宅ローンの返済継続が条件)
個人再生住宅ローン特則(住宅資金特別条項)を利用できる条件付きで守れる
自己破産すべての債務が対象になる原則として失う

任意整理をした場合:住宅ローンを対象から外せば家を守れる

任意整理は、弁護士・司法書士が債権者と個別に交渉して返済条件を見直す手続きです。裁判所を使わず、整理する債権者を自分で選べるのが最大の特徴です。

住宅ローンを対象から外すことができる

任意整理では「A社・B社のカードローンだけ整理して、住宅ローンは対象にしない」という選択が可能です。住宅ローンを対象から外せば、これまで通り住宅ローンの返済を続けることができ、家を守れます。

任意整理で家を守る条件

  • 住宅ローンを任意整理の対象に含めないこと
  • 住宅ローンの返済を今後も継続できる収入があること
  • 住宅ローン以外の借金を任意整理で整理した後も、住宅ローンの返済が家計に収まること

注意点

住宅ローン自体の減額はできません。 任意整理は対象にした借金の将来利息をカットする手続きです。住宅ローンを対象から外すため、住宅ローンの返済額は変わりません。

任意整理後は「住宅ローン+整理した借金の残債」を同時に返済し続けることになります。返済継続が現実的かどうかを、事前に専門家と試算することが重要です。

また、任意整理をすると信用情報に事故情報が登録されるため、住宅ローンの借り換えが難しくなります。変動金利で借りていて将来の借り換えを予定している方は注意が必要です。

任意整理の仕組みと手続きの流れ

個人再生をした場合:住宅ローン特則を使えば家を残せる

個人再生は、裁判所を通じて借金の元本を最大1/5に圧縮し、残額を原則3年間で返済する手続きです。

住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」という制度を使うことで、住宅ローンを払い続けながら他の借金だけを大幅に減額できます。

住宅ローン特則とは

住宅ローン特則を利用すると、住宅ローンだけを再生計画から切り離し、これまで通りの返済を継続できます。競売にかけられることなく、家に住み続けながら借金を整理できます。

住宅ローン特則が使える条件

  • 対象物件が自分が居住している自宅であること
  • 住宅ローンのための借入(購入・リフォーム)であること
  • 住宅ローン以外の抵当権が設定されていないこと(原則)
  • 滞納がない、または保証会社による代位弁済から6か月以内であること(根拠:民事再生法第198条第2項・e-Gov法令検索)

任意整理との違い

任意整理では住宅ローン自体は減額できませんが、個人再生では住宅ローン以外の借金を元本ごと大幅に圧縮できます。

住宅ローン以外の借金が多く、任意整理では返済が現実的でない場合は、個人再生の方が家を守りながら根本解決できる可能性が高いです。

専門家への相談時の重要な注意点

住宅ローンがあることを弁護士・司法書士に伝えないまま手続きが進むと、住宅ローン特則をつけ忘れたまま申立てが行われるケースがあります。その場合、家を失う結果になりかねません。

相談時に「住宅ローンがある」「家を残したい」という意思を最初に明確に伝えてください。

個人再生の仕組みと条件・流れをわかりやすく解説
個人再生で家を残せる?住宅ローン特則を含む7つのメリット

自己破産をした場合:原則として家は失う

自己破産は、裁判所の手続きを通じて借金の支払い義務を原則として免除(免責)してもらう手続きです。

住宅ローンがあれば家は失う

自己破産では、すべての債権者を対象にする義務があります。住宅ローンを例外にすることはできません。

住宅ローンが残っている場合、抵当権が実行されて家は売却されます。売却金額が住宅ローン残高を下回った場合でも、免責が認められれば残債の支払い義務はなくなります。

「自己破産で家を守る方法はないのか」

任意売却(競売より高値で売却できる可能性がある方法)を活用して手元に残るお金を増やすことはできますが、家を所有し続けることは基本的にできません。

住宅を手放さずに借金を整理したい場合は、自己破産ではなく個人再生を選択することを検討してください。

自己破産の仕組みと条件・流れをわかりやすく解説

「家を守りながら借金を整理したい」場合の選び方

家を守りたい場合、任意整理と個人再生のどちらを選ぶかは、住宅ローン以外の借金総額と収入のバランスで決まります。

任意整理が向いているケース

  • 住宅ローン以外の借金が比較的少なく、任意整理後も2本立て(住宅ローン+整理後の返済)で返済できる
  • 借金先が数社程度で、交渉による利息カットで月々の負担が現実的になる

個人再生が向いているケース

  • 住宅ローン以外の借金が多く、任意整理だけでは月々の返済が収まらない
  • 元本ごと圧縮しないと返済の見通しが立たない
  • 資格制限のある職業に就いていて自己破産を避けたい

自己破産が向いているケース

  • 収入がなく、個人再生後の返済継続も難しい
  • 住宅ローンを含め、すべての借金を整理する必要がある
  • 持ち家がなく、財産も少ない

どの手続きが最適かは収入・借金総額・財産・家族構成によって変わります。まずは専門家に無料相談して、自分の状況を整理することが最短の判断方法です。

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よくある質問

任意整理をしても、今の住宅ローンの金利や返済額は変わりませんか?

変わりません。任意整理では住宅ローンを対象から外すため、住宅ローンの条件はそのまま継続されます。月々の返済額・金利・残期間はすべて変わりません。

個人再生で住宅ローンが滞納中でも家を守れますか?

保証会社による代位弁済(滞納分を保証会社が立て替えること)から6か月以内であれば、住宅ローン特則を使える場合があります。

ただし競売が開始されている場合などは条件が異なるため、早めに専門家に相談することが重要です。

債務整理後に新たに住宅ローンを組める期間の目安は?

信用情報の事故情報が登録されている期間(目安:任意整理・個人再生は5年、自己破産は5〜7年)が経過し、情報が消去されれば審査を受けられる状態になります。

ただし、審査通過は信用情報だけで決まるわけではなく、その時点の収入・勤続年数・借入状況も判断材料になります。

変動金利で住宅ローンを組んでいて、将来の借り換えを考えています。任意整理をするとどうなりますか?

任意整理をすると信用情報に事故情報が登録されるため、任意整理後5年程度は住宅ローンの借り換え審査が通りにくくなります。

借り換えを前提に住宅ローンを組んでいる場合は、このリスクを専門家に相談したうえで判断してください。

住宅ローン特則は、どの個人再生の手続きでも使えますか?

小規模個人再生・給与所得者等再生のどちらでも利用できます。ただし、条件(自己居住・住宅ローン専用・抵当権の有無など)を満たしていることが前提です。

「代位弁済から6か月」の起算点はいつですか?

「代位弁済通知が届いた日」ではなく、保証会社が保証債務の全部を履行した日が起算点です (民事再生法第198条第2項)。

通知が届いた後、実際の代位弁済まで数日かかることがあるため、 通知を受け取ったら速やかに専門家に相談することが重要です。

まとめ

  • 任意整理: 住宅ローンを対象から外すことで家を守れる。ただし住宅ローン自体の減額はできない
  • 個人再生: 住宅ローン特則を使えば、家を守りながら他の借金を最大1/5に圧縮できる
  • 自己破産: 住宅ローンがある場合、原則として家は失う

「家を守りながら借金を整理したい」場合、個人再生が最も有力な選択肢です。まずは費用・対応実績を比較したうえで、専門家に無料相談することが最初のステップです。

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