個人再生のデメリット5選|手続きの注意点と後悔しないための対策

個人再生のデメリット5選
執筆者:大泉 聡

個人再生は、住宅を守りながら借金を大幅に減額できる有効な制度です。しかし、手続きには厳格な条件や制約があり、「誰でも・簡単に」できるわけではありません。

ここでは、個人再生の手続きで注意すべき5つのデメリットと、その現実的な対策を解説します。

制度の全体像(仕組み・条件・流れ)は、個人再生とはで整理しています。

目次

デメリット①:さまざまな条件をクリアする必要がある

個人再生のデメリット1 さまざまな条件をクリアする必要がある

結論

個人再生を利用するには、申立・継続・認可それぞれの段階で法律上の条件を満たす必要があります。条件を満たさないと、手続き自体を開始できません。

根拠

個人再生法に基づく代表的な条件は次のとおりです。

  • 借金総額が5,000万円以下(住宅ローンを除く)であること
  • 継続的または反復した収入を得る見込みがあること
  • 債権者の多数決による同意を得られること(小規模個人再生の場合)

また、個人再生には「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」があり、それぞれ要件が異なります。

区分利用できる条件注意点
小規模個人再生・継続収入あり
・借金5,000万円以下
・債権者の半数以上が反対しない
減額幅が大きいが債権者の同意が必要
給与所得者再生・安定した給与収入
・借金5,000万円以下
債権者の同意不要だが減額幅が小さい

【参考データ】個人再生の終結内容(日本弁護士連合会2023年調査)

終結原因全体小規模個人再生給与所得者再生
認可決定90.30%90.76%86.05%
不認可決定0.00%0.33%0.58%
申立却下0.00%0.17%0.58%
取下げ5.69%4.62%9.30%
廃止2.73%2.81%2.33%
申立棄却0.39%0.33%0.58%
死亡終了0.26%0.33%0.00%

出典:日本弁護士連合会「2023年破産・個人再生事件記録調査」

なお、日本弁護士連合会の2023年調査によると、認可決定率は90.3%、取下げや廃止は約8%と報告されています。

つまり、ほとんどの人は条件を満たせば認可されていますが、要件を満たせないと途中終了もあり得るという実態を示しています。

注意点

任意整理と違い、「誰でも利用できる制度ではない」ことに注意が必要です。

対策

申立前に専門家へ相談し、自分が条件を満たしているかを明確にしたうえで方針を決めることが重要です。

デメリット②:手続きに手間と時間がかかる

結論

個人再生は、申立から再生計画の認可まで6か月〜1年程度かかります。必要書類も多く、個人での申立はほぼ不可能です。

根拠

裁判所への申立から認可決定までには、以下の工程があります。

  • 借入先への通知・債権届出
  • 家計簿・給与明細などの資料提出
  • 再生計画案の作成と債権者意見照会

【参考データ】個人再生申立の代理人割合(日本弁護士連合会2023年調査)

区分全体小規模個人再生給与所得者再生
弁護士代理人あり88.10%88.08%88.17%
代理人なし(本人申立)0.13%0.17%0.00%
司法書士に依頼10.35%10.60%9.47%

実際に、日弁連の2023年調査では弁護士代理人による申立が88.1%を占め、本人申立(代理人なし)はわずか0.13%にとどまります。(司法書士に依頼:10.35%)

つまり、専門家の関与がなければ現実的に進めにくい制度です。

注意点

書類不備や遅延によって「申立取下げ」「廃止」に至る例も見られます。安易に自力で進めると途中で挫折するリスクがあります。

対策

弁護士に早期依頼し、書類準備と家計改善を並行して進めることが成功の鍵です。

デメリット③:官報に氏名・住所が公告される

結論

個人再生を申立てると、氏名・住所・再生手続の内容が官報に掲載されます。

根拠

官報公告は法的義務であり、債権者や利害関係者への周知を目的としています。掲載は一度のみで、国立印刷局のサイトまたは一部図書館等で閲覧可能です。

注意点

「家族や勤務先にバレるのでは」と心配する方もいますが、官報を定期的に閲覧する一般人はほとんどいません
現実的に知られる可能性は極めて低いです。

対策

「公告されること」よりも、生活再建に向けた手続完了を優先する姿勢が大切です。

デメリット④:保証人・連帯保証人に影響が及ぶ

結論

個人再生を行うと、保証人や連帯保証人に返済請求が行われる可能性があります。

根拠

債務整理では、主債務者が返済を停止すると、保証人に法的な返済義務が移ります。個人再生でも例外ではなく、保証付き債務だけを手続対象外にすることはできません。

注意点

保証人が家族・親族・知人である場合、関係性の悪化や金銭トラブルに発展するケースもあります。

対策

手続前に、保証人・連帯保証人と事前に事情を共有し、協力体制を整えることが不可欠です。

デメリット⑤:信用情報に登録され、新規契約が制限される

結論

個人再生をすると、信用情報機関に事故情報(いわゆるブラック情報)が登録されます。記録は完済から5〜10年間残り、その間はローン・クレジット契約が難しくなります。

根拠

信用情報への登録は、CIC・JICC・全国銀行協会(KSC)などの信用情報機関に共有されます。登録期間中はクレジットカードやローンの新規契約が難しくなります。

  • クレジットカード・ローン審査に通らない
  • 携帯電話の分割購入(割賦契約)ができない
  • 自動車・住宅ローンが組めない

注意点

「ブラックリスト」は一律ではなく、完済後の経過期間や利用履歴によって回復速度は異なります。

対策

登録期間中は現金主義の生活を徹底し、家計の健全化と貯蓄体質の定着を図ることが、信用回復への第一歩です。

まとめ:デメリットを理解すれば、個人再生は「再出発の制度」になる

個人再生のデメリットは、制度のハードルを示すものであり、「安易に借金を整理させないための安全装置」とも言えます。

大切なのは、仕組みと制約を理解した上で、最も現実的な選択肢を取ること。準備と専門家支援があれば、個人再生は「生活再建のための道筋」になります。

メリットも合わせて把握したい方は、個人再生のメリット(詳しく)も確認しておくと判断しやすくなります。

個人再生のデメリットに関するよくある質問

個人再生をすると家族や職場にバレますか?

基本的に裁判所や債権者から家族や勤務先に通知が行くことはありません。ただし、官報に公告されるため、理論上は第三者が知る可能性はあります。

とはいえ、官報を閲覧する人はごく一部で、実際に知られるケースはほとんどありません。

個人再生をするとクレジットカードは本当に使えなくなりますか?

個人再生を行うと、信用情報に事故情報として登録されます。登録期間(完済から5〜10年)は新たなクレジット契約が難しくなりますが、期間経過後は再び審査に通る可能性があります。

保証人や連帯保証人にはどんな影響がありますか?

個人再生をしても、保証人や連帯保証人の返済義務はなくなりません。債権者は債務者本人ではなく保証人へ請求を行います。

個人再生を検討する際は、事前に保証人と相談しておくことが不可欠です。

個人再生の手続きにどれくらい時間がかかりますか?

一般的には、申立から再生計画の認可決定まで6か月〜1年程度かかります。

書類準備や債権調査、再生計画案の作成など複数の工程があるため、弁護士に依頼して進める方が確実です。

ちなみに、日本弁護士連合会の2023年調査によると、「開始決定から認可決定までの平均期間」は約113日(約3.7か月)、「申立から開始決定まで」は約40日であり、全体で平均153日(約5か月)というデータが報告されています。

出典:日本弁護士連合会「2023年破産・個人再生事件記録調査」

個人再生と自己破産の違いは何ですか?

自己破産は借金を全額免除できる一方、住宅や車などの財産を手放す可能性があります。

個人再生は借金を大幅に減額しつつ、住宅を維持できる制度です。家を守りたい人には個人再生が適しています。

個人再生をしても再び借金できるようになりますか?

信用情報から事故情報が削除される(5〜10年後)と、再びローンやクレジット審査が通るケースもあります。

ただし、以前の利用状況や収入なども審査に影響するため、慎重な利用が大切です。

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