自己破産する人の家族構成とは?単身世帯の増加と「住居・生活・雇用」から見える現代の家計リスク

自己破産する人の家族構成 住居・生活・雇用が直撃する家計リスク
執筆者:大泉聡

自己破産の実態を調査した日弁連の最新データ(2023年版)では、家族構成において「単身世帯」が過去最高を更新しました。

しかし、その背景を詳しく見ていくと、単なる「個人の問題」だけではない、現代社会の構造的な課題が浮かび上がってきます。

本記事では、家族構成の変化とそれに付随する雇用や住居の状況を客観的な数値をもとに深く解説します。

目次

【データ】自己破産者の4割以上が「単身(1人)世帯」

日弁連の調査によると、破産者の世帯人数は年々「単身化」が進んでいます。

単身世帯の割合は一貫して増加傾向

日弁連の調査によると、自己破産者の世帯人数は以下のように推移しています。

家族人数(同一家計) 2023年調査 2020年調査 2017年調査
1人(単身) 43.63% 35.97% 33.84%
2人 25.39% 26.45% 22.62%
3人 15.33% 16.29% 18.50%
4人 8.84% 12.82% 12.36%

出典:日弁連「2023年破産事件及び個人再生事件記録調査」

2023年調査では単身世帯が43.63%と、過去最高を記録しました。社会全体の単身世帯増も背景にありますが、家計を一人で支える負担の重さが、統計上の数字として現れていると考えられます。

世帯人数の減少が意味する「家計セーフティネット」の不在

項目 2002年 2005年 2008年 2011年 2014年 2017年 2020年 2023年
単身 20.10% 18.82% 18.20% 22.45% 30.40% 33.84% 35.97% 43.63%
3人 21.17% 23.00% 21.31% 20.83% 19.03% 18.50% 16.29% 15.33%
4人 18.44% 18.29% 19.34% 15.72% 12.90% 12.36% 12.82% 8.84%

出典:日弁連「2023年破産事件及び個人再生事件記録調査」

かつては複数人世帯の破産も多く見られましたが、近年は相対的に単身者の割合が大きく上昇しています。

この傾向は、社会全体における単身世帯の増加に加え、住居費や生活費といった固定的支出を単独で負担する家計構造が、経済的リスクを高めている可能性を示しています。

自己破産者の居住形態の推移から見える家計リスクの変化

居住形態 2005年 2008年 2011年 2014年 2017年 2020年 2023年
本人所有(持ち家) 7.23% 8.08% 10.28% 6.86% 4.26% 3.67% 1.87%
持ち家でない 68.08% 63.05% 64.45% 71.10% 73.68% 74.25% 77.87%

出典:日弁連「2023年破産事件及び個人再生事件記録調査」

自己破産者は一貫して「賃貸世帯」が多数派であり、その傾向がさらに強まっている

年代別に見ると、自己破産者の居住形態は過去から現在にかけて一貫して「持ち家でない(賃貸等)」世帯が多数を占めています。

2005年時点でもすでに持ち家でない割合は68.08%と高水準でしたが、その後も上昇を続け、2023年には77.87%に達しています。

持ち家に住んでいた自己破産者は、年々減少している

一方で、本人所有の住宅(持ち家)に住んでいた自己破産者の割合は減少傾向にあります。

2005年の7.23%から、2011年には一時的に10%台となったものの、その後は低下が続き、2023年には1.87%まで縮小しています。

このことから、自己破産に至るケースの中で、持ち家世帯の占める比重が小さくなっていることが分かります。

賃貸:77.87%
・家族・親族所有:20.26%
・持ち家(本人):1.87%

自己破産の中心は「住宅ローン破綻」ではなく、賃貸世帯の生活維持困難へ

この推移は、自己破産の主因が持ち家の住宅ローン返済不能から、賃貸住宅で生活費や固定費を賄えなくなったことによる家計破綻へと、より明確に集中してきていることを示しています。

賃貸世帯が増えているだけでなく、その中で収入減少や医療費負担などの影響を受けやすい家計構造が、自己破産リスクを高めている可能性がうかがえます。

自己破産者の職業構成から見える変化と留意点

項目 2008年 2011年 2014年 2017年 2020年 2023年
給与所得者(正社員) 37.13% 28.69% 27.34% 30.21% 32.02% 31.47%
給与所得者(正社員以外) 23.52% 24.80% 26.69% 24.07% 27.50% 22.14%
主婦・内職 2.30% 2.35% 1.13% 1.37% 1.13% 0.89%
年金生活者 4.26% 5.02% 7.26% 6.22% 6.69% 7.70%
生活保護受給者 3.11% 6.97% 11.13% 11.71% 13.23% 17.36%
無職 22.30% 23.10% 20.00% 20.52% 13.23% 14.92%

職業構成全体に大きな構造変化は見られない

過去の調査と比較すると、自己破産者の職業構成は、正社員・非正規雇用・自営業といった主要な区分において、大きな割合の変動は見られません。

自己破産が特定の職業層に急激に集中するような構造変化は起きておらず、破産に至る背景は職業そのものよりも、収入水準や生活コスト、家計の脆弱性といった要因に左右されていると考えられます。

生活保護受給者の自己破産は一貫して増加している

一方で、注目すべき点として、生活保護受給者の割合は2005年以降、継続して増加傾向にあります。

今回の調査でも、生活保護受給者の自己破産者に占める割合は大きく上昇しており、経済的困窮が深刻化した段階で自己破産に至るケースが増えていることがうかがえます。

これは、借金問題が「収入のある層の返済困難」だけでなく、最低限の生活を維持すること自体が難しい層にも及んでいることを示しています。

給与所得者は正規・非正規を問わず減少傾向にある

給与所得者については、正社員・正社員以外を合算した割合が、過去調査と比べて減少しています。これは、雇用形態の違いにかかわらず、安定した給与収入を得ている層の自己破産が相対的に減っていることを意味します。

金融機関の審査厳格化や、債務整理の早期利用が進んだ結果、破産に至る前段階で問題が解消されるケースが増えている可能性も考えられます。

いづれにしても、自己破産の本質的な変化は「職業」よりも「生活を支える基盤の弱体化」にあるといえるでしょう。

【職業・属性】生活保護受給者の急増と「月収」のリアル

注目すべきは、破産者の属性と収入帯の相関です。特に生活保護受給者の割合が、2008年の3.11%から2023年には17.36%へと増加しています。

属性別にみる収入分布の考察

破産者のボリュームゾーンである「月収10万円〜15万円(24.01%)」には、主に以下の2つの層が合流していると考えられます。

月収10万円〜15万円(24.01%)の考えられる属性
  • 生活保護受給層
    単身で10〜12万円、複数人世帯で15万円前後を受給する生活保護を受給する層が、過去の負債を清算し生活を立て直すために破産を選択するケース。
  • 単身労働層
    非正規雇用などで働く単身者が、家賃を一人で負担しながらこの収入帯で生活を維持しているケース。

一方で、月収10万円未満の層(無職や低年金層)については、生活保護を受給できない、受けていない、あるいは年金の受給額の低い高齢者が、「食べるだけで精一杯」の極限状態で耐えている姿が推測されます。

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よくある不安:家族に知られずに手続きは可能か?

今回のデータからも分かる通り、家族と同居している方や、単身でも実家の家族に心配をかけたくないという方は非常に多いです。

「自己破産をすると家族に迷惑がかかるのでは?」「同居人に内緒で進められるのか?」という不安は、適切な知識を持つことで解消できます。

家族への影響や、周囲に知られないための工夫については、以下の記事で詳しく解説しています。

現代の破産は「孤立」と「日常の浸食」

2023年の日弁連調査が映し出したのは、かつてのイメージとは少し異なる「生存のための破産」でした。

「住居・生活・雇用」から見える現代の家計リスク
  • 単身世帯の急増による「家計セーフティネット」の喪失
  • 住宅ローンではなく「賃貸住宅の固定費」による生活破綻
  • 「生存のための破産」:生活基盤そのものの弱体化

もしあなたが今、一人で家計を支え、借金の返済に限界を感じているなら、それは決してあなただけの責任ではありません。

まずは専門家という「新しいパートナー」に相談し、生活再建への道を探ることをお勧めします。

あわせて読みたい:日弁連の最新調査で見る「自己破産の実態」シリーズ

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