
個人再生は、裁判所の手続を通じて借金を減額し、分割返済で生活を立て直す制度です。
一方で、手続中の行動(新たな借入、財産の申告漏れ、期限遅れなど)によって、手続が止まったり不認可・廃止につながることがあります。
この記事では「やってはいけないこと」を7つに整理し、なぜNGか/やってしまった場合の現実的な対処まで最短でまとめます。
あわせて参考情報として、日弁連の事件記録調査(2023年)に基づく終結内容(認可決定等)の割合も掲載します。
結論:手続中は「借金を増やさない・財産を正確に出す・期限と支払いを守る」が最重要
個人再生でつまずく原因は、だいたい次の3つに集約されます。
- 借金や支出を増やしてしまう(新規借入・浪費)
- 資料や財産の申告が不正確(隠す・漏れる・特定の人だけ返す)
- 手続のルール違反(費用未納・期限遅れ・履行テスト等の滞納)
制度の全体像(仕組み・条件・流れ)を先に確認したい方は、個人再生とは を参照してください。
個人再生でやってはいけないこと7選(理由と対策つき)
1)新たに借りる(カード・ローン・後払い・分割含む)
なぜNG?:返済能力や再建の意思が疑われやすい。家計の前提も崩れます。
起きやすい不利益:手続の進行に影響/説明が増える/認可が遠のくことがある。
対策:申立て準備〜認可まで、新規の借入・分割・後払いを止める(必要なら家計の立て直しを優先)。
2)浪費・過度な支出(ギャンブル・高額消費・投機など)
なぜNG?:「生活再建に向けた家計改善」が前提なので、支出が膨らむ行動は不利。
起きやすい不利益:返済計画の実現性が疑われる/履行に支障が出る。
対策:申立て前から支出を可視化(家計簿・明細の整理)。裁量支出は上限を決める。
3)財産を隠す/財産の名義や形を不自然に動かす
なぜNG?:清算価値(資産)・返済額の判断に直結。虚偽や不正確な申告は致命的。
起きやすい不利益:手続の廃止・不認可・計画取消につながることがある。
対策:口座・保険・車・不動産・積立・暗号資産等を漏れなく一覧化。名義変更や換金は自己判断でしない。
4)特定の債権者だけ返す(偏頗弁済)
なぜNG?:債権者は原則として公平に扱う必要があるため。
起きやすい不利益:追加説明や調整が必要/不利に評価される可能性。
対策:返済の扱いは「止める/続ける」を一律で決めるのではなく、専門家の指示に従う(特に保証人付き・住宅ローン等)。
5)裁判所費用・予納金などを期限までに納めない
なぜNG?:手続が進まない・開始決定が遅れる・廃止の原因になり得る。
起きやすい不利益:手続が止まる/やり直しコストが増える。
対策:いつ・いくら必要かを早めに把握し、積立口座を分けて管理。
6)書類の提出期限を守らない(再生計画案・家計表・資料補正など)
なぜNG?:個人再生は書面中心で進み、期限管理が極めて重要。
起きやすい不利益:手続の停滞・廃止・不認可。
対策:「提出物」「締切」「担当」を1枚のチェック表にして、遅れそうなら前倒しで相談。
7)履行テスト等で滞納する(積立・支払の遅れ)
なぜNG?:継続返済の見込み(実行可能性)を示す局面での滞納は痛い。
起きやすい不利益:計画が実行困難と見られる/手続に影響。
対策:生活費口座と返済(積立)口座を分離。収入減の兆しが出たら、滞納前に必ず連絡。
※履行テストの運用は裁判所や事案で異なります。
参考:個人再生は「認可決定」で終わる割合が高い(統計)
日本弁護士連合会の事件記録調査(2023年)では、個人再生事件の終結内容のうち 認可決定は90.30% でした(小規模個人再生:90.76%、給与所得者等再生:86.05%)。
もちろん、統計は「誰でも必ず認可される」という意味ではなく、書類の不備・期限遅れ・返済見通しの崩れ などで取下げ・廃止に至るケースもあります。
ただ、データ上は多くのケースで認可に至っているため、この記事で紹介した「やってはいけないこと」を避け、家計の整備と期限管理 を徹底することが、現実的にリスクを下げる近道です。
※出典:日本弁護士連合会「2023年破産・個人再生事件記録調査」
やってしまうとどうなる?(起きやすい3つの不利益)
1)手続が進まない/認可が得られない可能性がある
禁止行為の内容やタイミング次第で、追加の説明や資料が必要になり、最悪の場合は手続が成立しないことがあります。
2)時間と負担が増える
やり直し・補正・追加資料の収集で、精神的にも事務負担も増えます。
3)信用情報(事故情報)はすぐに回復するとは限らない
手続の結果にかかわらず、状況によっては事故情報が登録され、一定期間影響が残ることがあります(期間は機関・事情で異なります)。
認可後(返済開始後)に特に注意すること
- 返済の遅れを作らない:遅れが出る前に相談し、早期にリカバーする
- 家計の固定費を維持:通信費・保険・サブスクなどを見直し、再発防止
- 収入減・支出増が起きたら早めに共有:放置すると対応が狭まる
- 大きな買い物・名義変更は慎重に:後から説明が必要になりやすい
もし失敗(不認可・廃止など)になったら:現実的な対処の順番
ここはケース差が大きいので「まず状況整理」が先です。
- 理由を整理する(何が原因で、どの段階で、何が足りなかったか)
- 次の選択肢を比較する
- 再度の申立てを検討する
- 計画や方針を見直す(収支改善・資料整備・返済可能性の再設計)
- 他手続(任意整理・自己破産等)も含めて整理する
- 期限のある手段がある場合は早めに確認(不服申立て等)
※「できる・できない」は事案と裁判所運用で変わるため、必ず専門家に確認してください。
関連
メリット全体を整理したい方は、個人再生のメリット もあわせて確認すると判断しやすくなります。

