
「アコムから過去に借りていたが、過払い金は発生しているのか」「請求するとACマスターカードはどうなるのか」――アコムの過払い金請求を検討するうえで、こうした疑問を抱える方は少なくありません。
アコムは2007年6月18日に金利を引き下げており、それ以前にアコムから借入をしていた方は、払いすぎた利息(過払い金)が発生している可能性が高い状態です。
アコムは三菱UFJフィナンシャル・グループ系列の貸金業者として経営基盤が安定しているため、過払い金請求への対応は他社と比べて比較的スムーズに進む傾向があります。
本記事では、当編集部が30人超の弁護士・司法書士に取材した内容と、各事務所が公開している実例を整理し、アコムの過払い金請求における返還率の傾向、回収までの期間、ACマスターカードへの影響、対象となる借入時期、請求の流れを解説します。
アコムの過払い金請求の基本的な傾向
アコムは三菱UFJフィナンシャル・グループ系列の貸金業者で、経営基盤が安定しています。過払い金返還損失引当金も毎期計上しており、過払い金請求への対応は比較的良好です。
弁護士・司法書士の体験談から見えるアコムの対応
当編集部が確認した複数の弁護士・司法書士事務所の公開情報を整理すると、アコムの過払い金請求には次のような傾向が見られます。
法律事務所ホームワンの見解:争点のない事案については、任意交渉の段階で比較的スムーズに和解できている。一方で、取引期間中にブランク期間がある場合や途中で和解をしている場合など、過払い金が減額できる主張については、きっちりと主張し、なかなか妥協しない傾向もある。
司法書士法人杉山事務所の見解:話し合いによる交渉で和解をすると2か月程度の期間で、おおよそ返還率80%程度がアコムから返還される可能性がある。裁判をすると4か月程度の期間で、過払い金100%+利息がアコムから返還される可能性がある。
司法書士法人かながわ総合法務事務所の見解:発生した過払い金の70%〜90%は裁判をしないでも戻ってくるが、過払い金全額の返還には裁判が必要になるのがアコムの特徴。返還されるまでの期間は、和解日から3〜4か月程度が目安。
各事務所の見解から、「資金基盤が安定しているため対応は比較的スムーズ」「ただしブランク期間など争点があると減額主張をしてくる」という共通認識が浮かび上がります。
アコムの過払い金返還率と回収までの期間
過払い金請求は、和解交渉で済ませるか裁判(訴訟)まで進めるかで、返還率と期間が変わります。
| 項目 | 和解交渉 | 裁判(訴訟) |
|---|---|---|
| 返還率の目安 | 過払い金元金の70〜90%前後 | 過払い金元金のほぼ100%+利息 |
| 返還までの期間の目安 | 約2〜4か月 | 約4〜8か月 |
| 手間 | 比較的少ない | 裁判の事務手続きが発生 |
| 推奨されるケース | 早期解決・手軽さを優先 | 全額回収を優先 |
判断のポイント
早期解決を優先する場合は和解交渉。アコムの場合、和解交渉でも他社と同等以上の返還率(70〜90%)が期待できるため、2〜4か月程度で7〜9割を取り戻せる選択肢として現実的です。
全額回収を優先する場合は裁判。アコムは資金基盤が安定しており、裁判まで進めば過払い金の100%に加え、それに対する利息まで取り戻せる可能性があります。ただし回収まで4〜8か月程度を要し、裁判事務手数料も発生します。
返還率や期間は個別事情・取引履歴によって変動するため、上記はあくまで目安です。最終的な見通しは取引履歴の引き直し計算後に専門家から提示されます。
アコムの過払い金はいつからの借入が対象か

過払い金が発生しているかどうかは、借入時期が決定的な判断材料になります。
対象となる借入時期
アコムは2007年6月18日に出資法の法改正を受けて金利を18%に引き下げました。それ以前は出資法の上限金利(当時29.2%)と利息制限法の上限金利(15〜20%)の差がいわゆる「グレーゾーン金利」として存在しており、アコムの当時の金利は27.375%で利息制限法を超えていました。
| 業者 | 過払い金が発生する可能性のある借入時期 |
|---|---|
| アコム | 2007年6月17日以前 の借入 |
2007年6月17日以前にアコムから借入をしていた方は、過払い金が発生している可能性が高い状態です。
自分が対象かどうかの確認方法
借入時期がはっきり覚えていない場合、アコムに取引履歴の開示請求をすることで確認できます。アコム公式サイト・店舗の窓口・お客様相談センターから請求でき、通常3週間〜1か月程度で取得できます。本人が窓口で直接請求すれば、最短1日で取引履歴を入手できます。
専門家に依頼すれば、開示請求から引き直し計算まで一括で進めてくれます。多くの弁護士・司法書士事務所は、過払い金の有無確認だけであれば無料で対応しています。
後述しますが、時効が成立すると時効が成立している場合は、対象外になります。2016年に完済した場合は2026年が過払金の期限となります。
アコムへの過払い金請求のデメリット

過払い金が戻れば借金が減る、または返済中の借金がなくなる可能性がある一方で、いくつかのデメリットがあります。アコムの場合、特にACマスターカードへの影響に注意が必要です。
デメリット①|アコムから将来借入ができなくなる
アコムに過払い金請求を行うと、アコムの社内ブラックに記録され、無期限で新規借入ができなくなる可能性があります。これはアコムの社内データのみの話で、信用情報機関のブラックリストとは別ものです。他社からの借入には影響しません。
デメリット②|ACマスターカードが利用できなくなる
アコムの発行するクレジットカード「ACマスターカード」を利用している場合、アコムへの過払い金請求を行うとACマスターカードのショッピングもキャッシングも利用できなくなります。新規申し込みの審査にも通らなくなります。
ACマスターカードを生活インフラとして使っている方は、過払い金請求の前に代替のクレジットカードを準備しておく必要があります。
デメリット③|借金が残った状態での請求はブラックリストの対象に
過払い金請求は、原則として信用情報機関のブラックリストには登録されません。しかし、アコムの借入残高またはACマスターカードのショッピング残高が過払い金額を上回る場合は注意が必要です。
借入残高が過払い金で相殺しきれず借金が残ると、過払い金が返済分に充当されたうえで「任意整理」として処理されます。
任意整理は債務整理の一種であるため、信用情報機関に5年間事故情報として記録されます。これがいわゆるブラックリスト状態です。
ブラックリストに登録される可能性がある人とない人の区別は次の通りです。
| 状況 | ブラックリスト |
|---|---|
| すでに完済している | 登録されない |
| 借入残高 < 過払い金額(相殺後ゼロ) | 登録されない |
| 借入残高 > 過払い金額(借金が残る) | 登録される可能性あり |
返済中の借金について過払い金請求を行う場合は、ブラックリスト登録の可能性を理解したうえで、タイミングを専門家に相談してから進めてください。
アコムへの過払い金請求の流れ
正式に弁護士・司法書士に依頼すれば、すべて専門家が代行してくれますが、全体の流れを理解しておくと相談がスムーズに進みます。
ステップ1|取引履歴の開示請求
アコムに取引履歴の開示を請求します。借入日、借入期間、借入金利を正確に把握しなければ過払い金の計算ができません。アコム公式サイト・店舗の窓口・お客様相談センターから請求でき、通常3週間〜1か月程度で取得できます。本人が窓口に出向けば最短1日で入手可能です。
ステップ2|過払い金の引き直し計算
取引履歴をもとに、利息制限法の上限金利で引き直し計算を行い、過払い金が発生しているかどうかを算出します。返済中の場合でも、過払い金の金額次第では今後の返済が不要になる可能性があります。
ステップ3|過払い金返還請求書の通知
過払い金が発生していれば、アコムに過払い金返還請求書を郵送します。通常、アコムから2〜3週間で連絡があり、返還額の提示が行われます。
ステップ4|和解交渉
アコムからの提示額をもとに、和解交渉を進めます。アコム側は返還額を抑えたい立場のため、ここでの交渉が返還率を左右します。ブランク期間や途中和解の有無など、争点がある場合はアコム側が減額主張をしてくる傾向があるため、引き直し計算の根拠を明確に示せる専門家への依頼が重要です。
ステップ5|訴訟提起(和解で合意できない場合)
和解交渉で妥結した金額に納得できない場合は、訴訟を提起して裁判で決着をつけます。裁判中もアコム側が折れて和解に至るケースもあります。
ステップ6|過払い金の返還
和解交渉または裁判で決着した過払い金が返還されます。
過払い金請求ができなくなるケース
過払い金が発生していても、以下の状況では請求できない、または困難になります。
過払い金の時効が成立している
過払い金の返還請求権は、最後の取引日(多くの場合は完済日)から10年で時効が成立します。完済から10年経過すると、過払い金が発生していても取り戻すことはできません。
完済時期がはっきり覚えていない場合は、取引履歴で確認できます。時効が近い場合は早めの相談が必要です。
示談書で過払い金請求権を放棄している
返済が厳しい時期にアコムから示談書を提示され、利息のカットや返済額の減額を受けた経緯がある方は注意が必要です。
示談書に「アコムとの間に何らの債権債務関係のないことを確認する」旨の記載があった場合、過払い金請求権を放棄したとみなされ、請求が困難になる可能性があります。
過去の書類が残っている場合は、専門家への相談時に提示してください。
アコムが倒産した場合
アコムが倒産すれば過払い金請求はできなくなります。
現在のアコムは三菱UFJフィナンシャル・グループ傘下で経営基盤が安定しているため倒産リスクは低いと考えられますが、過払い金が発生している可能性がある方は早めに動くほどリスクを減らせます。
アコムの過払い金返還の規模|利息返還損失引当金の推移
アコムが計上している「利息返還損失引当金」(過払い金返還に備えた引当金)の推移を見ると、過払い金請求の規模が時代とともにどう変化してきたかが把握できます。
利息返還損失引当金の推移(2017年〜2024年)
| 決算年度 | 利息返還損失引当金 |
|---|---|
| 2025年3月期 | 480億円 |
| 2024年3月期 | 303億円 |
| 2023年3月期 | 577億円 |
| 2022年3月期 | 862億円 |
| 2021年3月期 | 567億円 |
| 2020年3月期 | 876億円 |
| 2019年3月期 | 1,023億円 |
| 2018年3月期 | 1,040億円 |
| 2017年3月期 | 1,649億円 |
2017年の1,649億円から2024年の303億円へと、引当金は着実に減少傾向にあります。これは時効成立による請求権消滅と、過払い金請求の累積処理が進んだ結果と考えられます。
ただし、2024年時点でも303億円の引当金が計上されており、過払い金請求は今でも継続している事象であることを示しています。
アコムの2025年有価証券報告書「事業等のリスク」では、「利息返還損失が急増する可能性は限定的であると考えられるものの、外部環境の変化等の影響を受けやすいことから、引き続き動向に留意する必要があります」と記載されています。
過払い金が発生している可能性がある方にとっては、時効が成立する前に動くことの重要性を示すデータとも言えます。
借金が残っていて過払い金で相殺しきれない場合の選択肢
引き直し計算の結果、借入残高(ACマスターカードのショッピング残高を含む)が過払い金を上回り借金が残るケースでは、過払い金請求と並行して債務整理を検討する場面が出てきます。
債務整理は、法律に基づいて借金を減額または免除する手続きの総称で、以下の4種類があります。
- 任意整理:将来利息をカットし、3〜5年で分割返済する手続き
- 個人再生:借金を最大1/5〜1/10に減額し、原則3年で返済する手続き
- 自己破産:返済不能を裁判所に認めてもらい、借金を全額免除する手続き
- 特定調停:簡易裁判所を介して債権者と返済条件を協議する手続き
借金総額・収入・財産状況・家族構成によって最適な手続きは異なります。過払い金請求と債務整理は併せて検討するべき場面が多く、両方に対応できる弁護士・司法書士に相談するのが効率的です。
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よくある質問
まとめ
アコムの過払い金請求は、三菱UFJフィナンシャル・グループの資金基盤の安定性から、他の消費者金融に比べて対応がスムーズな傾向があります。和解交渉なら過払い金元金の70〜90%が約2〜4か月で返還、裁判まで進めれば100%+利息が約4〜8か月で返還される見通しです。
対象となるのは2007年6月17日以前の借入が中心で、最後の取引から10年経過すると時効が成立する点に注意してください。
完済済みであればブラックリストに載るリスクはありませんが、借入残高(ACマスターカードのショッピング残高を含む)が過払い金を上回って借金が残る場合は任意整理扱いとなる可能性があります。アコム特有のデメリットとして、ACマスターカードが利用停止になる点も事前に把握しておく必要があります。
過払い金が発生している可能性がある方は、まず取引履歴を開示請求し、専門家による引き直し計算で正確な金額を把握するところから始めてください。
多くの弁護士・司法書士事務所は、過払い金の有無確認だけであれば無料で対応しています。アコムの利息返還損失引当金は2017年から2024年で着実に減少しており、時効による請求権消滅が進んでいるため、可能性がある方ほど早めの行動が選択肢を広げます。
