債務整理は司法書士に相談できる?140万円の壁と弁護士との違い・選び方

債務整理 司法書士
執筆者:大泉 聡

監修者:司法書士 近藤 陽介

結論から言うと「任意整理中心で、1社あたりの借入が140万円以下なら司法書士が合う可能性が高い」です。

一方、「140万円を超える借入がある/裁判対応が絡む/自己破産・個人再生で“代理”が必要」なら、最初から弁護士に相談するほうが安全です。

迷ったら、まず次の3つだけ確認してください。

債務整理の相談を司法書士にすべきか弁護士にすべきかの選び方のポイント
  • 借入先ごとの残高は、1社あたり140万円を超えていないか
  • すでに訴訟・差押え・裁判所からの書類が来ていないか
  • 希望する手続きが「任意整理」なのか、「自己破産・個人再生」なのか

ここを押さえるだけで、「司法書士に相談して良いケース/弁護士が必要なケース」がかなり整理できます。

目次

なぜ「140万円の壁」が重要なのか(司法書士と弁護士の決定的な違い)

司法書士(特に認定司法書士)は、借金問題の相談や書類作成などを扱える法律職ですが、弁護士と比べて代理できる範囲に制限があります。

ポイントは次の2つです。

  • 1社あたり140万円を超えると、交渉や手続きの“代理”ができない/難しくなる場面が出る
  • 裁判所手続きで「代理人として出廷・主張する」必要がある場面は、原則として弁護士の領域

この制限があるため、最初に「借入先ごとの残高」を見ておくのが、相談先選びの最短ルートになります。

司法書士で「できること/できないこと」早見表

相談内容・手続き司法書士(一般)認定司法書士弁護士
借金状況の整理・返済計画の相談
債務整理の書類作成サポート
任意整理の交渉(代理)△(制限あり)〇(ただし上限あり)〇(制限なし)
1社140万円を超える案件の対応△(要確認)△(原則は弁護士が安全)
裁判(地方裁判所など)での代理××
自己破産・個人再生の申立てを「代理」×(書類作成支援は可)×(書類作成支援は可)

※実務上の対応可否は事務所の方針や事件の状況で変わります。迷ったら「このケースは貴所で最後まで担当できるか」を最初に確認してください。

司法書士が向いている人・弁護士が向いている人

司法書士が向いている人(目安)

  • 任意整理での解決を考えている
  • 借入が複数社あっても、1社あたり140万円以下が中心
  • まずは費用や相談ハードルを抑えて進めたい

弁護士が向いている人(目安)

  • 1社でも140万円を超える借入がある
  • 訴訟・差押え・裁判所からの通知が届いている
  • 自己破産/個人再生を検討していて、代理が必要な局面がありそう
  • 争い(債権者との対立)が強く、交渉が長期化しそう

司法書士が選ばれやすい理由

司法書士が候補に上がりやすいのは、主に次の理由からです。ここは「だから必ず司法書士が良い」ではなく、条件に合えば選びやすいという理解が安全です。

1) 相談費用が無料の事務所が多い

初回相談無料の事務所は多く、状況整理の一歩を踏み出しやすい傾向があります。

2) 費用体系がシンプルな事務所がある

「1社あたりの報酬」など、見積の考え方が分かりやすい事務所があります(ただし内訳は要確認)。

3) 連絡手段が柔軟(電話・オンライン・夜間等)

仕事や家庭の都合で動きづらい人にとって、相談のしやすさは重要です。

4) 任意整理の経験が多い事務所がある

任意整理は交渉の積み上げが結果に影響します。経験の豊富さは確認ポイントになります。

5) “最初の窓口”として心理的に相談しやすい

悩みを言語化できない段階でも、状況整理から入ってくれる窓口は価値があります。

6) 認定司法書士なら、一定範囲で代理が可能

ただし、140万円の上限など制限があるため、「認定かどうか」と「上限を超える可能性」を必ず確認します。

先に知っておくべき注意点

1) 「1社140万円」を超えると、途中で弁護士にバトンが必要になることがある

最初に司法書士へ相談しても、状況によっては途中で弁護士へ切り替えが必要になる場合があります。
最初の面談で次を聞けば遠回りを防げます。

  • 「借入先ごとの残高が140万円を超える可能性があるが、最後まで担当できるか」
  • 「途中で弁護士へ切り替える場合、費用はどうなるか(重複の有無)」

2) “安く見える”だけで決めない(総額の見積もりが重要)

見るべきは「基本報酬」だけではありません。次の項目まで含めた総額で比較します。

  • 相談料
  • 着手金(有無)
  • 基本報酬(1社ごとか、手続きごとか)
  • 解決報酬(発生条件)
  • 減額報酬(発生条件)
  • 実費(郵送・印紙・交通など)
  • 追加費用(訴訟化・資料追加など)

3) 「返済が止まる/取り立てが止まる」の説明が雑なら要注意

受任通知を出すと、一般に貸金業者からの直接連絡が止まる方向になりますが、ケースによって対応は異なります。

「いつ、どの相手に、どう止まるのか」を具体的に説明できる事務所を選ぶほうが安心です。

相談前チェックリスト(これが揃うと話が早い)

可能な範囲で、次をメモしておくと初回相談が短く、正確になります。

  • 借入先(会社名)と件数
  • 借入先ごとの残高(だいたいでOK)
  • 毎月の返済額と、いまの家計の余裕額
  • 遅延(滞納)の有無、期間
  • 裁判所からの書類・督促状の有無
  • 保有資産(車・不動産・保険解約返戻金など)※破産・再生検討なら重要

そのまま使える質問テンプレ(コピペOK)

初回相談で、次の質問だけは必ず聞いてください。

  1. 「借入先ごとの残高が140万円を超える可能性があります。貴所で最後まで担当できますか?」
  2. 「見積もりは“総額”で出せますか?(着手金・報酬・減額報酬・実費・追加費用まで)」
  3. 「受任通知はいつ出しますか?出した後、連絡はどう変わりますか?」
  4. 「任意整理以外(個人再生・自己破産)も検討が必要になった場合、対応はどうなりますか?」
  5. 「担当者は誰ですか?途中で担当が変わることはありますか?」
  6. 「連絡手段は何ですか?(電話/メール/LINE/面談/オンライン)返信の目安時間は?」

よくある質問(FAQ)

借入が1社140万円を超えていたら、司法書士には相談できませんか?

相談自体はできます。ただし、事件の進め方によっては“代理”が必要になり、弁護士への切り替えが前提になることがあります。

最初に「最後まで担当できるか」「切り替え時の費用」を確認してください。

認定司法書士かどうかは、どうやって確認すればいいですか?

初回相談で「認定司法書士(簡裁訴訟代理等関係業務の認定)ですか?」と確認し、認定番号の有無も含めて聞くのが確実です。

司法書士に依頼すると、取り立ては止まりますか?

一般的には、受任通知が出ると債権者からの直接連絡が止まる方向になります。

ただし、相手や状況で運用は異なるため、「いつ」「どの相手に」「どう止まるか」を具体的に説明してもらってください。

自己破産や個人再生も、司法書士に頼めますか?

司法書士は書類作成支援などはできますが、裁判所手続きで「代理」が必要な局面は弁護士の領域です。

最初から弁護士に相談したほうが手戻りが少ないケースもあります。

弁護士と司法書士、結局どちらが安いですか?

一概には言えません。見るべきは「基本報酬」だけでなく、着手金・解決報酬・減額報酬・実費・追加費用・裁判所への予納金まで含めた“総額”です。

必ず総額見積もりで比較してください。

次に読む(理解を深める順番)

監修者

この記事の監修者
アース司法書士事務所 近藤代表

司法書士 近藤 陽介
アース司法書士事務所代表。

同志社大学卒業。平成18年司法書士試験合格。平成19年簡易訴訟代理関係業務認定試験合格。

大阪大阪司法書士会所属(登録番号3331)。依頼者一人一人に対して、親切かつ丁寧な事務所運営がモットー。

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