
個人再生は、任意整理より大きく減額でき、自己破産のように財産を失わない中間的な手続きです。
ここでは、個人再生を利用することで得られる7つのメリットを、他の債務整理との違いも交えてわかりやすく解説します。
制度の全体像(仕組み・条件・流れ)は 『個人再生とは』 で整理しています。
個人再生の主なメリット7選
① 借金を大幅に減額できる(最大80%カットも)

個人再生では、民事再生法によって「最低弁済額(さいていべんさいがく)」が定められています。これは「最低限、これだけは返済してください」という基準額で、借金総額によって変わります。
| 借金総額 | 返済総額(最低弁済額) |
|---|---|
| 100万円未満 | 借金全額(減額なし) |
| 100万円以上500万円以下 | 100万円 |
| 500万円超〜1500万円以下 | 借金の5分の1 |
| 1500万円超〜3000万円以下 | 300万円 |
| 3000万円超〜5000万円未満 | 借金の10分の1 |
たとえば借金が1000万円の場合、返済総額は1/5の200万円で済む計算です。さらに残った200万円は、3年(最長5年)の分割返済が可能。
月々の返済額を大きく抑えることができ、家計を立て直しやすくなります。
② 住宅を手放さずに済む(住宅ローン特則)

個人再生の最大の特徴が、「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」を使えることです。住宅ローン以外の借金だけを減額し、ローンの返済を続けながら自宅を残せるという制度です。
自己破産では持ち家を手放す必要があり、任意整理では住宅ローン会社と交渉しても長期延長は難しいのが実情。
住宅ローン特則を使えば、家を守りながら借金を減らすことが可能です。
参考:「Q5 住宅ローン債務を負っているのですが,住宅は手放さなければいけないのですか。」(法務省)
③ 債権者の意向に左右されにくい
任意整理は債権者ごとの交渉が必要なため、相手が応じなければ減額は実現しません。
一方、個人再生は裁判所の手続きで行われるため、再生計画案が認可されれば、反対する債権者も従う義務があります。
つまり、債権者の意向に左右されにくく、法的な強制力によって再生を進められる点が大きなメリットです。(ただし、小規模個人再生では、一定数以上の債権者が不同意だと認可されない点には注意。)
なお、再生計画が認可されるには、安定した収入と返済見通しが必要です。条件を満たさない場合は、自己破産が選択されるケースもあります。
④ 督促・取立が止まる(受任通知の効果)

弁護士が個人再生の依頼を受けると、債権者に受任通知を送ります。これにより、債権者は債務者本人への督促や取立てを行うことが禁止されます。
さらに裁判所から再生手続開始決定が出ると、すべての債権者は債務者に直接連絡できなくなります。
「電話や手紙が止まる」という心理的な安心感は、再生を選ぶ大きな理由の一つです。
⑤ 財産への差押えが停止される
再生手続の開始が裁判所で決定されると、債権者による差押え・強制執行が一時的にストップします。すでに給料や預金が差し押さえられていても、裁判所の判断で一時的に回復されるケースもあります。
給料差押えが続いて生活が回らない…という状況を、個人再生の申立てで一時的に止めることができます。
⑥ 自己破産のような資格制限がない
自己破産をすると、手続中は弁護士・税理士・警備員・保険募集人など、一部の職業に就けない制限が生じます。
個人再生ではこのような職業制限が一切ありません。今の仕事を続けながら生活を立て直せるのは、大きな安心材料です。
⑦ 一定の財産を残せる(破産との違い)

自己破産では、生活に不要な財産をすべて処分する必要があります。
一方、個人再生では基本的に財産の処分義務はありません。車や預貯金など、一定の範囲の資産を手元に残しながら返済を続けられます。
他の債務整理と比較したメリット
| 手続き | 借金減額 | 財産保持 | 職業制限 | 督促停止 | 住宅維持 |
|---|---|---|---|---|---|
| 任意整理 | 利息分中心 | 可 | なし | 一部 | 難しい |
| 個人再生 | 最大80%減額 | 可 | なし | 可 | 可能(特則あり) |
| 自己破産 | 100%免除 | 不可 | あり | 可 | 不可 |
個人再生は、「財産を守りながら減額できる中間的な手続き」として位置づけられます。
個人再生が向いている人
- 家を残したまま借金を整理したい人
- 安定した収入があり、返済の見通しが立てられる人
- 自己破産による職業制限を避けたい人
- 任意整理では返済が難しい人
まとめ
個人再生は、借金を最大80%減額しながら、住宅や財産を守り、職業制限を受けずに再スタートできる制度です。
他の債務整理と比べても、「生活基盤を維持したまま再生できる唯一の制度」として、家族を支えながら返済を続けたい人に最も適しています。
次に、個人再生の注意点やリスクも確認しておきましょう。

