個人再生で家を残せる?住宅ローンを守りながら借金を減らす7つのメリット

個人再生の7つのメリット
執筆:大泉 聡(弁護士・司法書士30人超取材)

住宅ローンが残っている状態で借金問題を抱えると、「個人再生を選べば家を守れるのか」「自己破産とどう違うのか」という点が最も気になるはずです。

このページでは、個人再生の7つのメリットを、住宅ローン・資格制限・借金の減額幅という3つの軸を中心に解説します。任意整理・自己破産との比較表も掲載しているので、どの手続きが自分に合うかの判断材料になります。

※個人再生の仕組みや条件・流れを先に確認したい方は個人再生とは?仕組み・条件・流れをわかりやすく解説をご覧ください。

目次

まず結論

個人再生の最大のメリットは、住宅ローンを払い続けながら、他の借金を最大1/5に圧縮できる点です。

自己破産では家を手放すことになりますが、個人再生には「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」という制度があり、マイホームを守りながら借金問題を解決できます。

住宅以外にも、資格制限がない・職業を続けられる・自己破産より社会的信用が保てるなど、検討する価値がある制度です。このページでは7つのメリットを具体的に解説します。

メリット①:住宅ローンを払い続けながら家を残せる(最重要)

個人再生には、「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」という制度があります。

これは、住宅ローンだけを再生計画から切り離し、これまで通り払い続けることで、マイホームを手放さずに他の借金だけを大幅に減額できる仕組みです。

住宅ローン特則が使える条件

  • 住宅ローンの対象物件が自分が住む自宅であること
  • 住宅ローンの担保(抵当権)が設定されていること
  • 住宅ローン以外の抵当権が設定されていないこと(一部例外あり)
  • 住宅ローンの返済が継続できる収入があること

自己破産との決定的な違い

自己破産では、20万円以上の価値がある財産は原則として換価(売却)の対象になります。住宅ローンが残っていれば、抵当権が実行されて家を手放すことになります。

個人再生であれば、住宅ローン特則を使うことで家を守りながら借金を整理することができます。「家だけは残したい」という方にとって、個人再生が実質的に唯一の選択肢になります。

メリット②:借金を最大1/5に圧縮できる(法的強制力あり)

個人再生では、裁判所が再生計画を認可することで、借金の元本を法的に大幅に減額できます。

最低弁済額の基準(目安)

借金総額最低弁済額の目安
100万円未満全額(減額なし)
100万円〜500万円未満100万円
500万円〜1,500万円未満借金総額の1/5
1,500万円〜3,000万円未満300万円
3,000万円〜5,000万円以下借金総額の1/10

※保有資産(清算価値)が最低弁済額を上回る場合は、資産額が返済基準になります。

たとえば借金が500万円の場合、最低弁済額は100万円が目安です。残りの400万円は支払い義務がなくなり、100万円を原則3年(最長5年)で分割返済します。

任意整理との違い

任意整理は将来利息のカットが中心で、元本は基本的に全額返済が必要です。借金の総額が大きい場合、任意整理では毎月の返済が現実的な金額に収まらないことがあります。

個人再生は元本ごと圧縮できるため、任意整理では解決できないケースでも現実的な返済計画を立てられます。

法的強制力がある

再生計画が裁判所に認可されると、債権者全員がその計画に従う義務が生まれます。

任意整理と違い、債権者の同意を個別に取る必要がないため(小規模個人再生の場合は一定の要件あり)、交渉の結果に左右されません。

メリット③:自己破産のような資格制限がない

自己破産では、手続き開始から免責許可が確定するまでの期間、一部の職業・資格の業務ができなくなる「資格制限」があります。弁護士・司法書士・税理士・生命保険募集人・警備員などが対象です。

個人再生にはこの資格制限がありません。

手続きを進めている間も、これらの職業をそのまま続けることができます。士業・金融・保険・警備など資格制限の対象職種に就いている方にとって、個人再生は自己破産より大きなメリットがあります。

メリット④:職業・仕事を続けられる

資格制限と関連しますが、個人再生では職業上の制限が一切ありません。

自己破産手続き中は、破産管財人の選任や財産調査が入るケースもあり、仕事に影響が出る場合があります。個人再生ではこのような制限がなく、手続き中も通常通り働き続けることができます。

また、個人再生を理由に解雇することは法律上できません(個人再生は自己破産と同様に、会社が解雇事由として使えない)。

メリット⑤:借金の原因を問われない

自己破産では、ギャンブルや浪費が原因の借金は「免責不許可事由」として、免責が認められないリスクがあります。

個人再生では、借金の原因にかかわらず手続きを利用できます。ギャンブル・浪費・事業失敗など、どのような経緯で借金ができたかは、再生計画の認可に影響しません。

ただし、再生計画通りに返済を継続できる収入があることは必要です。

メリット⑥:督促・取り立てが止まる

弁護士・司法書士に個人再生を依頼すると、受任通知が債権者に送付されます。これにより、本人への直接の督促・取り立てが原則として止まります。

また、裁判所に個人再生を申立てると、「再生手続開始決定」が出て、債権者による強制執行・差押えが中止または禁止されます。すでに給与差押えが実行されている場合も、手続き開始により解除できる可能性があります。

メリット⑦:返済計画の変更が認められる場合がある

再生計画が認可された後に、病気・失業・収入の大幅減少などやむを得ない事情が生じた場合、裁判所に申立てることで返済計画の変更(再生計画の変更許可)が認められることがあります。

すべてのケースで認められるわけではなく、状況次第では自己破産への切り替えが必要になることもあります。

ただし「一度決まったら絶対に変えられない」というわけではなく、事情が変わった場合の救済手段があることは、長期返済を続けるうえで安心材料になります。

自己破産・任意整理との比較表

項目個人再生自己破産任意整理
借金の減額幅元本を最大1/5に圧縮原則全額免除将来利息のカット(元本は全額)
家・住宅ローン住宅ローン特則で守れる原則手放す影響なし(対象から外せる)
資格制限なし手続き中ありなし
借金の原因問われないギャンブル・浪費は要注意問われない
裁判所必要必要不要
返済義務減額後3〜5年の返済ありなし(免責後)和解後の返済あり
費用目安40〜60万円前後30〜55万円前後(同廃)5〜15万円前後

個人再生が向いている人・向いていない人

向いている人

  • 住宅ローンが残っていて、家を手放したくない
  • 借金総額が大きく、任意整理では月々の返済が現実的でない
  • 資格制限のある職業に就いていて、自己破産を避けたい
  • 安定した収入があり、減額後の返済を継続できる
  • 借金の原因がギャンブル・浪費で自己破産のリスクが高い

向いていない人・別の方法が合う人

  • 借金総額が少なく、任意整理でも月々の返済が収まる
  • 収入がなく、減額後も返済継続が難しい(→自己破産を検討)
  • 住宅ローン以外の住宅抵当権がある(→条件確認が必要)
  • 保証人がいる借金を整理したい(→任意整理で対象を選択する方が影響が少ない)

よくある質問

個人再生で家を残すには、住宅ローンを滞納していてもできますか?

住宅ローンを滞納している場合でも、個人再生の申立て前に滞納を解消し、今後の支払いを継続できる状況であれば住宅ローン特則を使える場合があります。

ただし競売が開始されている場合などは条件が変わるため、早めに専門家に相談することが重要です。

個人再生をすると官報に載りますか?

はい、官報に掲載されます。

ただし一般の人が日常的に官報を確認することはほとんどありません。家族や職場にバレるリスクは低いですが、完全に非公開ではない点は理解しておきましょう。

個人再生と自己破産、どちらを選ぶべきですか?

「家を残したいか」が最大の判断軸です。家を残したい場合は個人再生、資産がなく返済継続が不可能な場合は自己破産が有力な選択肢になります。

収入・資産・借金総額・家族構成によって最適な手続きが変わるため、まずは専門家に無料相談することをお勧めします。

個人再生の手続き期間はどのくらいですか?

弁護士・司法書士に依頼してから再生計画が認可されるまで、おおよそ6〜12か月が目安です。申立て準備に1〜2か月、裁判所での手続きに4〜6か月程度かかります。

個人再生のデメリットも確認したい

信用情報への登録(ブラックリスト)・官報掲載・返済継続の義務・手続きの複雑さなど、注意すべき点もあります。

個人再生のデメリット5選|手続きの注意点と後悔しないための対策

まとめ

個人再生の7つのメリットを整理します。

  1. 住宅ローンを払い続けながら家を残せる(住宅ローン特則)
  2. 借金を最大1/5に圧縮できる(法的強制力あり)
  3. 資格制限がない(自己破産との最大の違い)
  4. 職業・仕事を続けられる
  5. 借金の原因を問われない
  6. 督促・取り立てが止まる
  7. 返済計画の変更が認められる場合がある

特に「住宅を守りながら借金を整理したい」「士業・保険・警備など資格制限のある職業に就いている」方にとって、個人再生は自己破産より優れた選択肢になります。

まずは費用・実績・対応体制を比較したうえで、専門家に無料相談することが最初のステップです。→ 個人再生に強い弁護士を費用・実績で比較する


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