自己破産する人の借入先はどこ?債権者数や債務属性の推移を日弁連データで解説

自己破産する人の債権者数の推移 日弁連調査結果より
執筆者:大泉 聡

自己破産を検討する際、「自分と同じような状況の人は、何社くらいから借りているのだろうか?」「銀行や消費者金融、どこからの借入が多いのか?」と気になる方も多いのではないでしょうか。

日本弁護士連合会(日弁連)が定期的に実施している「破産事件記録調査」の最新結果を見ると、自己破産を巡る環境がこの20年で劇的に変化していることがわかります。

かつての「10社以上の消費者金融から借り入れる」といった極端な多重債務のケースは減少傾向にあり、現在は平均7社弱と、以前に比べて負債が特定の属性へ集約される傾向が見られます。

本記事では、最新データに基づき、現代の自己破産者が抱える「債権者の数」と「債権者の属性」について、具体的な会社名を交えながら詳しく解説します。

目次

自己破産の債権者数は20年前の約半分。平均6.81人で下げ止まり

まず、自己破産に至った人が何社(何人)の債権者から借入をしていたのかを見てみましょう。

調査年債権者数の平均
23調査6.81
20調査6.83
17調査6.75
14調査6.76
11調査7.19
08調査8.20
05調査9.25
02調査11.50

出典:日弁連「2023年破産事件及び個人再生事件記録調査」

23調査では、債権者9人以内の層が全体の78.83%を占めています。

平均債権者数の推移:多重債務の「沈静化」の実態

2000年調査以降、減少傾向にあった債権者数の平均は、今回(2023年)の調査においてさらに減少しています。

  • 2002年調査では11.50人だった平均債権者数は、2023年調査では6.81人まで減少しました。
  • 近年は2014年の6.76人、2017年の6.75人、2020年の6.83人と推移しており、現在は下げ止まりの傾向にあります。

債権者数9人以内の層が約8割を占める現代の傾向

極端な多重債務が減ったことは、以下のデータからも明らかです。

  • 今回の調査では、債権者数が9人以内のケースが全体の78.83%を占めています。
  • かつてのように10社、20社と増え続ける前に、法的整理(自己破産)を選択する人が増えているといえます。

どこから借りている?債務属性に見る劇的な変化

次に、債務先の内訳(属性)を見てみましょう。ここには、近年の借入トレンドの変化が顕著に現れています。

債務先の種別23調査20調査17調査14調査11調査08調査主な具体例
登録貸金業者46.00%46.67%42.44%45.47%57.41%67.51%アコム、アイフル、プロミス
保証系合計23.66%24.70%22.88%15.10%11.21%6.33%銀行保証会社、債権回収会社
民間金融機関4.50%5.09%6.29%8.30%7.74%8.39%都市銀行、地方銀行、信金
政府系合計3.28%2.97%3.43%3.99%3.90%3.48%奨学金、公庫、福祉協議会
税金・社会保険2.10%2.63%2.75%3.88%2.65%1.87%所得税、住民税、健康保険
医療関係0.65%0.64%0.83%0.66%0.42%0.19%病院代、歯科ローン
無登録貸金業者0.45%0.12%0.44%0.30%0.32%1.17%闇金、SNS個人間融資
その他債権者19.38%17.18%20.93%22.29%16.37%11.07%知人・親族、家賃、携帯代

※「政府系合計」は奨学金と奨学金以外を含んだ合算値となっています。

出典:日弁連「2023年破産事件及び個人再生事件記録調査」

消費者金融(登録貸金業者)の割合は大幅に減少

かつて自己破産の主要な原因だった消費者金融などの「登録貸金業者」からの借入比率は、長期的に低下しています。

  • 2008年調査では67.51%を占めていましたが、2023年調査では46.00%まで低下しました。
  • これは、2010年6月に完全施行された貸金業法の改正(総量規制)により、年収の3分の1を超えるような無理な借入が厳格に抑制された影響が大きいと考えられます。

銀行カードローンの普及により「保証会社・サービサー」への債務が急増

保証会社による代位弁済の仕組み
保証会社による代位弁済の仕組み

代わって急増しているのが、銀行融資に関連する「保証系」の債務です。

  • 保証系全体の割合は、2008年の6.33%から、2023年には合計で23%以上へと拡大しています。
  • 銀行カードローンの返済が止まると、銀行の代わりに「保証会社」が代位弁済(肩代わり)を行うため、破産時にはこれらの会社が直接の債権者となります。

依然として無視できない「知人・親族・家賃・税金」などの滞納

金融機関以外への債務も一定の割合を占めています。

  • 「その他債権者(知人、親族、家賃、通信費など)」は19.38%
  • 「税金・社会保険料」は2.10%となっています。

具体的な債務先の分類と具体例

調査データの「種別」が具体的にどのような機関を指すのか、主な具体例をまとめました。

カテゴリ具体的な会社名・機関(例)特徴
登録貸金業者アコム、アイフル、プロミス、レイク、楽天カード、エポスカード消費者金融やクレジットカード会社(キャッシング)
保証会社(銀行系)エム・ユー信用保証、りそなカード、しんきん保証基金銀行カードローンの返済を肩代わりする会社
サービサー(銀行系)エム・ユー・フロンティア債権回収、SMBC債権回収銀行から債権を譲り受けた回収専門会社
政府系金融機関日本政策金融公庫(旧国金)、社会福祉協議会事業資金や生活福祉資金などの公的な融資
政府系(奨学金)日本学生支援機構(JASSO)2023年調査での構成比は0.81%
無登録貸金業者SNSでの個人間融資、ソフト闇金いわゆる「闇金」。構成比は0.45%
医療関係総合病院、大学病院、歯科クリニック未払いの入院費、手術代、自由診療のローン

本記事で使用している日弁連調査について

本記事で紹介したデータは、日本弁護士連合会(日弁連)が実施した全国規模の実態調査に基づいています。

この調査は、全国47都道府県・50の地方裁判所を対象に、無作為抽出された裁判確定記録をもとに分析されたもので、特定の地域や属性に偏らない形で自己破産の実像を捉えることを目的としています。

そのため、すべての破産事件を網羅した「全件調査」ではないものの、当時の自己破産の傾向や構造を把握するうえで、十分に信頼できる資料といえます。

調査の対象範囲や抽出方法、データの位置づけについては、以下の記事で詳しく解説しています。


まとめ:現代の自己破産は「少数社からの借入集約」がキーワード

日弁連のデータからわかる通り、現代の自己破産は、かつての多重債務から「銀行カードローン(およびその保証会社)を中心とした、少数社への負債」へと構造が変わっています。

債権者数が平均6.81人と減っているのは、決して借金の深刻さが減ったわけではありません。1社あたりの融資額が大きくなっていることや、保証会社によって債権が一本化されている実態を反映しています。

もし、あなたが現在5社以上の借入を抱え、返済のために別の場所から借りる「自転車操業」の状態にあるなら、それはすでに平均的な自己破産者の債権者数に近い状態かもしれません。手遅れになる前に、一度専門家へ相談することをおすすめします。

本記事では自己破産データを中心に紹介

なお、この日弁連調査では、破産事件に加えて個人再生事件についても調査が行われていますが、本記事では自己破産に関するデータに絞って紹介しています。

個人再生に関する調査結果については、別記事で詳しく解説します。

より詳しい情報

あわせて読みたい:日弁連の最新調査で見る「自己破産の実態」シリーズ

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次