小規模個人再生と給与所得者再生の違いとは?どちらを選ぶべきかを徹底解説

小規模個人再生と給与所得者再生の違い
執筆者:大泉 聡

個人再生には「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2種類があります。

どちらも借金を大幅に減額できる制度ですが、返済額や手続きの流れ、利用しやすさには大きな違いがあります。

個人再生の全体像(仕組み・条件・流れ)は、個人再生とはで整理しています。

この記事では、それぞれの特徴や選び方をわかりやすく解説し、実際に多くの方が選んでいる手続きの傾向にも触れます。

目次

結論:多くの人は小規模個人再生を選択する

個人再生には「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2種類があります。

最高裁判所事務総局『司法統計年報(令和6年版・民事編)』によると、個人再生事件のうち 約94%が小規模個人再生、約6%が給与所得者等再生 となっており、実際に利用されているのは圧倒的に小規模個人再生が多いことが分かります。

その理由は、

  • 返済総額をより少なく抑えられる
  • 利用できる範囲が広い(サラリーマン・自営業・アルバイトもOK)からです。

一方、給与所得者再生は「可処分所得の2年分以下にできない」という条件があり、一定以上の収入がある人では減額効果が薄くなるため、利用者は限定的です。

小規模個人再生とは

小規模個人再生の基本概要

小規模個人再生はもともと小規模事業者向けの制度でしたが、現在はサラリーマンやアルバイト、自営業者も広く利用できます。

個人再生を行う人の大半が、この小規模個人再生を選択しています。理由は、繰り返しになりますが、返済しなければならない金額(最低弁済額)が小規模個人再生より給与所得者等再生の方が大きくなる傾向がある、ということが挙げられます。

利用できる条件(債権者の同意が必要)

小規模個人再生では、債権者の多数決により再生計画案が認可されます。つまり、債権者の同意(反対多数で否決)が必要な制度です。

【主な条件】

  • 借金総額(住宅ローン除く)が5,000万円以下
  • 継続または反復した収入がある
  • 債権者の半数以上が反対しないこと
  • 反対した債権者の債権額が全体の半分を超えないこと

メリット・注意点

メリット注意点
借金の減額幅が大きい(最大5分の1)債権者の同意が必要
自営業・アルバイトも利用できる同意を得られないと不認可となることもある
家を残したまま手続き可能手続きが複雑で専門家のサポートが必要

向いている人の特徴

  • 自営業やフリーランスなど、収入に変動がある人
  • 債権者との関係が比較的良好な人
  • 借金の減額効果を最大化したい人

給与所得者再生とは

給与所得者再生の基本概要

給与所得者再生は、安定した給与収入がある人専用の個人再生制度です。ただし、利用者は少数派で、全体の約1割程度にとどまります。

利用できる条件(安定収入・可処分所得要件)

  • 継続して安定した収入がある(サラリーマン・公務員など)
  • 借金総額が5,000万円以下(住宅ローン除く)
  • 小規模個人再生のような債権者の同意は不要

可処分所得要件

給与所得者再生では、「可処分所得の2年分以下に返済額を減らすことができない」という上限条件があります。
つまり、収入が高い人は返済総額が多くなり、減額効果が小さいというデメリットがあります。

メリット・注意点

メリット注意点
債権者の同意が不要減額幅が小さい(可処分所得制限あり)
手続きが安定して進む高収入だと小規模再生より不利になる
サラリーマンや公務員に向く個人事業主は利用不可

向いている人の特徴

  • 安定した給与があり、債権者との関係が不透明な人
  • 再生計画の同意を得るのが難しい人
  • 減額よりも「確実な認可」を重視する人

小規模個人再生と給与所得者再生の違いを比較

条件・手続き・返済額の違い

項目小規模個人再生給与所得者等再生
対象自営業・サラリーマン・アルバイト等安定した給与所得者のみ
債権者の同意必要不要
減額基準最低弁済額基準(例:500万円→100万円)可処分所得の2年分以下には減らせない
減額効果大きい小さい
主な利用者全体の約9割全体の約1割
清算価値保証の原則適用される適用される

清算価値保証の原則とは?

どちらの手続きも、「清算価値保証の原則」に従います。

これは、もし破産した場合に債権者が受け取れる額(財産価値)よりも少ない返済をしてはならないというルールです。

つまり、最低限「財産の評価額以上」は返済する必要があります。

最低弁済額の基準(共通ルール)

負債額最低弁済額
100万円未満負債全額
100〜500万円未満100万円
500〜1500万円未満負債額の5分の1
1500〜3000万円未満300万円
3000〜5000万円未満負債額の10分の1

出典:鹿児島地方裁判所「個人再生手続説明書」

どちらを選ぶべき?判断基準まとめ

判断ポイント該当する制度
収入が安定している・サラリーマン給与所得者再生
自営業・アルバイト・収入変動あり小規模個人再生
債権者の同意が得られそう小規模個人再生
債権者の同意が難しい給与所得者再生
減額効果を重視小規模個人再生

個人再生の利用条件と注意点

継続した収入とは?

個人再生では「継続して収入があること」が条件です。ただし、必ずしも正社員である必要はありません。

職業継続収入とみなされる基準
個人事業主3か月に1回以上の収入があり、月1回返済できること
アルバイト長期雇用が継続していること
年金受給者終身年金であれば可

継続的な収入と認められるかは、専門家に相談することが確実です。

まとめ:自分に合う手続きを見極めよう

自分に合う手続きを行うポイント
  • 小規模個人再生が原則・第一選択肢
  • 債権者の不同意が見込まれる場合のみ給与所得者再生を検討
  • どちらも裁判所の認可を得るため、専門家のサポートが重要

制度の違いを正しく理解し、自分の状況に最も合う方法を選ぶことが、「後悔しない債務整理」の第一歩です。

関連記事

個人再生のデメリット5選|手続きの注意点と後悔しないための対策

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次