
時効援用は自分でできます。やり方の基本は、時効援用通知書を作成し、「内容証明郵便+一般書留+配達証明」で債権者に送って証拠を残すことです。
ただし、時効は「期間が経っただけ」で自動的に効くわけではなく、また途中の支払い・承認・裁判などで状況が変わることがあります。送付前に、時効が完成しているか/更新・完成猶予がないかを最低限チェックしてから進めるのが安全です。
この記事では、通知書テンプレ(コピペ可)・書き方の注意点・内容証明の出し方・自分でやる場合の実費目安・送付後に起こりやすい反応と対応まで、手順に沿って整理します。
※「時効援用とは何か/期間・起算点」から確認したい場合は、別記事で全体像を先に整理できます。
結論(先にやること)
時効援用は自分でできます。やり方の基本は 「時効援用通知書」→「内容証明郵便+一般書留+配達証明」 で送って、証拠を残すことです。
ただし、時効が完成していないのに送ると不利益(更新の主張・やり取りの負担増など)が出ることがあるため、送付前に「期間」「起算点」「更新/完成猶予」の有無を最低限チェックします。
根拠(なぜ書面・証拠が重要?)
- 時効は、当事者が主張(援用)しない限り、裁判所は時効を前提に判断できません(民法145条)。
- 口頭(電話)でも主張自体は可能ですが、「いつ・何を伝えたか」 が争いになると不利になりやすいので、実務上は書面が一般的です。
- 内容証明は、日本郵便が「文書内容」と「差出日」等を証明してくれる郵便です(証拠作りのための手段)。
送る前のチェックリスト(自分でやるならここが最重要)
- 最後の返済(入金)や督促の経緯をメモする
- いつから数えるか(起算点)の当たりを付ける(返済期限/期限の利益喪失日など)
- 途中で更新(例:一部入金・「払います」等の承認・裁判)がないか確認する
- 催告などで完成猶予になっていないか確認する
- 送付先が いまの債権者(譲渡先・債権回収会社など) で合っているか確認する
- 不明点が多いときは、軽い相談で可否を確認してから送る(このページでは比較・おすすめは扱いません)
時効援用は電話でもいい?(結論:おすすめしない)
法律上は電話で伝えても無効とは限りませんが、実務ではおすすめしません。
- 証拠が残らない(言った/言わないになりやすい)
- 会話の流れで 「払います」「分割なら」 などと言ってしまうと、更新(承認)と評価されるリスク
- 住所や勤務先など、余計な情報を話してしまいやすい
自分でやるなら「書面で、淡々と」が基本です。
自分で時効援用する手順(全体像)
STEP1:時効援用通知書を作る
このページのテンプレを使ってOK。重要なのは ①債務の特定 ②援用の意思表示 ③承認しない文言 です。
STEP2:内容証明郵便+一般書留で送る(配達証明も推奨)
- 内容証明は 一般書留が必須です。
- 配達証明は「届いた日」を残すために付けることが多いです。
STEP3:控え一式を保管する
最低限、以下をセットで保管します。
- 内容証明の控え(謄本)
- 書留の受領証
- 配達証明書(届いた日が書かれたもの)
STEP4:相手から連絡が来たときは“支払い約束”をしない
- 「時効は完成していない」「裁判済み」等の反応が来たら、まず事実確認
- その場で入金・分割約束をしない(更新・放棄と争点化しやすい)
時効援用通知書テンプレート(コピペ用)
実務でよく使われる形に寄せています。断定が不安なら「私の認識では」を入れるのが安全です。
※電話番号は必須ではありません。連絡を増やしたくないなら 未記載でも構いません(書面での連絡を希望する旨を入れる手もあります)。
テンプレ(基本形)
時効援用通知書
20XX年X月X日
(債権者)
〒XXX-XXXX
〇〇〇〇(住所)
〇〇〇〇株式会社 御中
(差出人/債務者)
〒XXX-XXXX
〇〇〇〇(住所)
氏名:〇〇〇〇 印
(任意)電話:XXX-XXXX-XXXX
拝啓
私(〇〇〇〇)と貴社との間の下記債務について、私の認識では最終の返済(弁済)日が20XX年X月X日であり、
その後、法定の期間が経過しているため、民法145条に基づき消滅時効を援用します。
よって、当該債務について今後の支払義務を負わないことを通知します。
なお、本書面は当該債務の存在を認める(承認する)趣旨ではありません。(任意)本件につきご連絡がある場合は、書面にてお願いいたします。
敬具
【債務の表示】
・契約番号(会員番号):〇〇〇〇
・商品名/取引種別:〇〇〇〇(カードローン等)
・当初契約日(分かれば):20XX年X月X日
・氏名(フリガナ):〇〇〇〇
・契約時住所(分かれば):〇〇〇〇
どこを書けばいい?(最小でOKな項目)
- 債権者名・住所
- あなたの氏名・住所
- どの債務か特定できる情報(契約番号が最優先)
- 時効を援用する意思表示
- 承認しない一文(「承認ではない」)
内容証明郵便の出し方(失敗しないコツ)
郵便局の窓口で出す場合
- 同じ内容の文書を複数部用意(控え用が必要)
- 窓口で「内容証明+一般書留+配達証明」を希望と伝える
- その場で形式要件の案内が出るので、指示に従う
e内容証明(電子内容証明)という選択肢
Web上で文書を作成・差出でき、料金例も日本郵便が公開しています。 (環境・手順が合う人は、体裁ミスを減らしやすい)
自分で時効援用する場合の費用(実費の目安)
内容証明+一般書留+配達証明(1枚)の目安
- 手紙(定形50gまで):110円
- 一般書留:+480円
- 内容証明(謄本1枚):+480円(2枚目以降 +290円/枚)
- 配達証明:+350円(差出時)
→ 合計 1,420円(1枚) が目安です。
信用情報の「本人開示」費用(必要な人だけ)
時効援用そのものに必須ではありませんが、信用情報の状態を確認したい場合は本人開示を使います。
- CIC:インターネット 500円/郵送 1,500円
- JICC:スマホ申込 700円(税込)
送付後に起こりやすい反応と、やること
1) 何も連絡が来ない
- しばらくは控えを保管(届いた証明が重要)
- 同じ債権者から督促が続くなら、書面対応の履歴を整理
2) 「時効は完成していない」と言われる
- すぐに支払い約束をしない
- 相手の主張(裁判の有無・承認の根拠など)を確認し、記録を残す
3) 「裁判済み(判決がある)」と言われる
- 事実なら時効期間の考え方が変わることがあるため、資料(事件番号等)の確認が先

