
任意整理の和解が成立した後、月々の返済が苦しくなることがあります。インフレ、転職、病気、急な出費など、和解時には想定できなかった事情で「今月だけどうしても払えない」「来月以降も払えそうにない」と悩む方は少なくありません。
任意整理後に返済が払えない時は、放置せず、できるだけ早く弁護士・司法書士事務所に連絡することが最も重要です。連絡すれば、再和解や別の債務整理への切り替えなど、解決の選択肢があります。
この記事は、任意整理の和解が成立した後に返済が苦しくなった方向けに、滞納時の連絡先・滞納期間別のリスク・再和解の進め方・最終手段としての個人再生や自己破産への切り替えを整理しました。
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本記事では任意整理が成立した後の返済について解説しています。
任意整理後に返済が払えない時の3つの対処法
任意整理後の返済が苦しくなった時、最優先でやるべきことは「連絡」です。次の3つの対処法を順番に実行してください。
① まずは弁護士・司法書士事務所に連絡する
任意整理を依頼した弁護士・司法書士事務所が、まだ事件を担当している(辞任していない)場合は、最初にその事務所に連絡してください。
- 連絡は早ければ早いほどよい(滞納する前の連絡が理想)
- 電話・メール・LINEなど、事務所が指定する方法でOK
- 「今月の返済が難しそうです」と正直に伝える
事務所が窓口になって債権者と交渉してくれる場合があります。自分で債権者に直接連絡するより、専門家経由のほうが対応がスムーズになることが多いです。
② 債権者へ連絡する(直接連絡が必要な場合)
任意整理を依頼した事務所が既に辞任している場合(事件終了後など)は、自分で債権者に直接連絡する必要があります。
- 和解書に記載された債権者の窓口に電話する
- 「○月分の返済が難しい」と伝える
- 一括請求される前に、必ず連絡する
連絡せずに滞納すると、債権者から不信感を持たれ、後述する「期限の利益喪失」のリスクが高まります。
③ 「いつまでに払えるか」を明確に伝える
連絡時には、「いつまでに払えるか」を具体的に伝えることが重要です。
- 「次の給料日(○月○日)には払えます」
- 「ボーナス時(○月)にまとめて払います」
- 「来月、2ヶ月分まとめて払います」
具体的な日付を示すことで、債権者・専門家ともに対応を検討しやすくなります。「いつ払えるか分からない」では、相手も判断できません。
滞納期間別の対応とリスク
任意整理後の滞納は、滞納期間によってリスクが大きく変わります。
今月だけ払えない場合(1ヶ月以内に解消)
「今月だけ」という1ヶ月以内の滞納であれば、状況はそこまで深刻ではありません。
- 翌月までに遅延を解消すれば、和解の効果は維持される
- 債権者・専門家への連絡を忘れずに行う
- 翌月は通常通り返済を続ける
ただし、1ヶ月の滞納でも連絡なしの放置はNGです。連絡があれば「うっかり遅れた」と理解してもらえますが、無連絡だと「踏み倒すつもりか」と疑われます。
2ヶ月以上滞納した場合の「期限の利益喪失」
任意整理の和解書には、ほとんどの場合「2ヶ月分以上の滞納で期限の利益を喪失する」という条項が含まれています。
「期限の利益喪失」とは、月々の分割払いの権利を失い、残債務全額を一括請求される状態のことです。和解書で設定した毎月の支払額ではなく、残っている借金の総額を一度に支払うよう求められます。
民法第137条は、次の3つを期限の利益喪失事由として定めています。
次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。
一 債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
二 債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。
三 債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。
ただし、民法第137条が定めるのは破産手続開始・担保関連の3つの事由のみであり、「滞納」そのものは含まれていません。「2ヶ月以上の滞納で一括請求」というルールは、当事者間の契約(和解書)で独自に追加された喪失事由です。
民法上、契約当事者は法定の喪失事由以外にも、独自に喪失事由を定めることができます(任意規定)。任意整理の和解書では、債権者が回収不能リスクを抑えるため、「2ヶ月以上の滞納」を喪失事由に加えるのが一般的です。
実際の運用としては、2ヶ月滞納した瞬間に一括請求されるわけではなく、誠実に対応すれば「3ヶ月分をまとめて払えば許してもらえる」ケースも多いです。ただし、これは債権者の判断次第なので、必ず誠実に連絡してください。
なお、和解書の条項内容は債権者ごとに異なります。手元の和解書がある方は、「期限の利益喪失」「一括請求」に関する条項を確認してください。
3ヶ月以上滞納が続くと再和解または別の債務整理が必要になる
3ヶ月以上の滞納が続くと、当初の任意整理の和解は事実上、効力を維持するのが難しくなります。「3ヶ月」という数字は法律で明確に定められたものではなく、実務上の一般的な目安として扱われている期間です。
実務上、滞納から3ヶ月以上が経過すると、次のような状態が想定されます。
- 依頼していた弁護士・司法書士が「辞任」している可能性が高い:2ヶ月以上の滞納が続くと、契約に基づいて弁護士・司法書士が依頼を降りる(辞任する)ことが一般的です。辞任後は債務者本人が直接、債権者に対応することになります
- 債権者からの督促が本格化する:弁護士・司法書士が辞任すると、債権者からの督促・請求書が自宅や携帯電話に直接届きます
- 一括請求の通知が届く:和解書の「期限の利益喪失条項」に基づき、残債務の一括請求書が送られます
- 訴訟・強制執行が現実的になる:放置すると、債権者が訴訟を提起し、判決後に給与差押え・財産差押えなどの強制執行が行われる可能性があります
このタイミングで放置すると、給与差押えなどに発展して生活が大きく影響を受けるため、解決のためには次のいずれかが必要です。
- 再和解:債権者と再交渉して、新しい支払条件で合意する(次のH2で詳述) 個人再生・自己破産への切り替え:再和解が難しい場合は、別の債務整理に切り替える(記事後半で詳述)
- 個人再生・自己破産への切り替え:再和解が難しい場合は、別の債務整理に切り替える(記事後半で詳述)
弁護士・司法書士が既に辞任している場合は、別の事務所への新規依頼が必要になります。早めに相談すれば、訴訟・強制執行に発展する前に手を打てる可能性が高まります。
そもそも自分はどの手続きが合うか確認したい方へ
任意整理を続けるか、個人再生・自己破産に切り替えるか迷っている方は、まず手続きの方向性を確認しておくと相談がスムーズになります。
任意整理の再和解とは|できる条件と進め方
「再和解」とは、任意整理後に支払いが困難になった際、債権者と再度交渉して支払条件を変更してもらうことを指します。法律用語ではなく、実務上の慣行的な呼び方です。
再和解できるケース・できないケース
再和解は、債権者の同意があって初めて成立します。法的に必ず認められるものではありません。
再和解できる可能性が高いケース
- 滞納が1〜2ヶ月以内で、早期に連絡している
- 収入減少などの正当な理由がある
- 今後の支払い能力が見込める(収入の見通しが立っている)
- 過去に誠実に支払いを続けてきた実績がある
再和解が難しいケース
- 既に裁判を起こされている/給与差押えが始まっている
- 一度再和解した後、再び滞納している
- 支払い能力が回復する見込みがない
- 連絡を無視し続けている
再和解の手順
再和解は、弁護士・司法書士に依頼するのが現実的です。自分で債権者と交渉するのは難易度が高く、不利な条件で合意してしまうリスクもあります。
- 弁護士・司法書士事務所に相談する(最初に依頼した事務所が望ましい)
- 現在の収入・支出・残債務を整理する
- 専門家が債権者と再交渉する
- 新しい支払条件で合意する
- 再和解書を作成し、新しい返済を開始する
再和解には別途の弁護士費用が発生します。最初の任意整理を依頼した事務所であれば、再和解の費用を抑えてくれる場合があるため、まずは最初の事務所に相談してください。
再和解できなかった場合の選択肢
債権者が再和解に応じない、または支払い能力の回復が見込めない場合は、別の債務整理(個人再生・自己破産)への切り替えを検討します。詳しくは記事後半で解説します。
任意整理後の返済を続けるための対策
そもそも再和解や別の債務整理に進む前に、返済を続けるための工夫ができないか確認します。
家計の見直しで返済額を確保する
任意整理後の返済が苦しい場合、まずは家計の固定費を見直します。
- 通信費(格安SIMへの切り替え、不要なサブスク解約)
- 保険料(過剰な保障の見直し)
- 住居費(家賃の安い物件への引越し)
- 光熱費(契約プランの見直し)
固定費は一度見直せば毎月の効果が続くため、最も効果的な節約対象です。
副業や転職で収入を増やす
支出削減だけで足りない場合は、収入を増やす方向も検討します。
- 副業(在宅ワーク、配達系、休日の単発バイトなど)
- 転職(残業代・賞与のある職場、給与水準の高い業界へ)
- 配偶者の就労(家族の協力)
ただし、転職や副業は短期的には時間と労力がかかるため、即効性は低いです。並行して再和解や債務整理の検討も進めるのが現実的です。
早めに専門家に相談する
「もう少し頑張れば払えるかもしれない」と無理を続けると、滞納が長期化し、選択肢が狭まります。
- 1ヶ月先の返済が厳しいと感じた段階で相談
- 2ヶ月以上の滞納見込みなら、すぐに相談
- 「払えなくなってから」ではなく「払えなくなる前」に相談
弁護士・司法書士の多くは、初回相談を無料で受け付けています。
再和解できない場合の選択肢|個人再生・自己破産への切り替え
再和解が成立しない、または再和解しても返済が見込めない場合は、個人再生または自己破産への切り替えを検討します。
個人再生への切り替えが向くケース
個人再生は、借金を5分の1〜10分の1程度に圧縮できる手続きです。任意整理から切り替えるケースとして、次のような状況が向いています。
- 安定した収入はあるが、任意整理での減額幅では返済しきれない
- 住宅ローンを支払い中で、家を残したい(住宅ローン特則の利用)
- 借金総額が住宅ローンを除いて5,000万円以下
個人再生の手続き・費用は個人再生とは|手続きの流れと費用で詳しく解説しています。
自己破産への切り替えが向くケース
自己破産は、借金を全額免除できる手続きです。次のような状況で検討します。
- 収入が大幅に減少し、今後も回復の見込みが立たない
- 病気・高齢・障害などで就労が困難
- 任意整理・個人再生では支払いきれないほど借金が多い
- 守りたい資産(持ち家など)が特にない
自己破産の手続き・費用は自己破産とは|手続きの流れと費用で詳しく解説しています。
再度の債務整理の流れ
任意整理から個人再生・自己破産への切り替えは、次の流れで進みます。
- 弁護士・司法書士に相談(最初の任意整理を担当した事務所でも、別の事務所でもOK)
- 現状の整理(収入・支出・残債務・資産)
- 適切な手続き(個人再生か自己破産か)を決定
- 受任通知の発送(債権者からの督促が止まる)
- 必要書類の準備・裁判所への申立て
- 手続きの進行・終結
再度の債務整理の費用については、依頼前にお金がない場合は債務整理でお金がない人が頼める弁護士・司法書士は?法テラスの免除って?を参考にしてください。法テラスの民事法律扶助制度を利用すれば、無利息で費用を立替えてもらえます。
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よくある質問(FAQ)
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